少なすぎる註
★★★☆☆
このシリーズの特長は見開きで左のページの本文に対して右のページに詳しい註が加えられていることですが、この巻に限ってあまりにも註が少ないと思います。このシリーズの他の巻では余白は殆どありませんが、この巻では註のページの約半分が余白です。著者は「まえがき」で「いわゆる四大悲劇の中で、『オセロー』は言語表現に関する限り詩的要素の最も少ないものである」と指摘した上で「語句の説明は簡潔を旨とし、ある程度以上専門的なことに立入らないのを原則とした」と表明しておられます。しかし専門家でない一般読者が読む限りオセローは他の作品より分かりやすいと言うことはないと思います。もっと親切に註を入れておいてくれたらと思うことが非常に多くありました。註のレベルもしくはスタイルを統一しなかったという点でこのシリーズを企画した編集委員に責任があると思います。