医療機関運営者必読です
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医療機関の運営には、質の高い医療を提供し、しかも患者満足度を高める事が求められる。昨今は、安全・安心な医療と言うキーワードもよく聞かれる。科学的に認められる医療を、患者が納得する様な形で提供する困難は、現在の医療従事者であれば、誰もが感じている事であろう。
その一方で、患者の過剰な欲求によるモンスターペイシェントの存在や、コンビニ受診の弊害もあり、医療機関に携わる人々の疲弊の原因となっている。
患者の求める医療を提供し、なおかつ保険診療の枠組みの中で安定した経営を行う事は困難になって来た。
この書籍は、「淀川キリスト教病院」「聖隷浜松病院」「医療生協さいたま」の事例研究を通して、患者中心の理念と安定経営がどのように実現されて来たかを示している。具体的には、医療機関運営のリーダーである院長、看護部長、事務部長が連携しながら病院を変革するプロセスを「生の声」を基に分析することで、3者に共通する理論が抽出される。
キリスト教系の2病院、医療生協1組織とやや変則的な選択ではあるが、医療機関の大小に関わらず直面する「医療の質を担保しつつ経営的な安定を目指す」と言う課題に対する回答が提示されていると言えよう。医療機関の運営に従事する多くの人にご一読いただきたい。