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行動・生態の進化 (シリーズ進化学 (6))

価格: ¥3,990
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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総合説の結実に向けて ★★★★★
動植物の生態や行動がどのように進化してきたのか、進化のメカニ
ズムについて研究動向および今後の課題についてまとめている。
動物行動学や社会生物学と呼ばれる分野の書籍である。

序章と終章を除くと5章に内容が分けられている。
動物の行動が自然選択により進化することを示した導入部の第1章、
個体の適応を下げるような利他行動へなぜ進化したのかを扱った第
2章、雌雄の生殖(行動)の特性を進化の枠組みで読み解く第3章、
コミュニケーションの進化的メカニズムについて論じている第4章、
他種との相互作用から生じる共進化をまとめた第5章、トピックは
以上である。図表によりデータが随所に紹介され、またコラムの
挿入により、とても読みやすかった。

どのトピックでも理論モデルが提示され、それが検証にかけられて
いく流れになっており、非常に興味深かった。特に、他の章の倍近
くページ数が割かれている第2章については、この手の本で取りあげ
られることの多い内容であるが、非常にわかりやすく近年の研究内
容とその意義についてまとめられている。ハミルトンやメイナード・
スミスによって利他行動の理論的な枠組みが提示された後の、検証
を目的とした研究事例が豊富に紹介されている。後半の4章と5章は、
コミュニケーションや相互作用といった自然環境(地理・気性)の
要因よりも複雑な環境要因を土台としている分、前半部分よりも特
に研究課題となっていることが多いトピックであるようだ。ただ、
進化のダイナミクスを考える場合にもっとも魅力的な部分の1つで
もあると思うので、まだみぬ今後の研究が気になるところである。

終章で長谷川寿一は、進化生物学が諸分野へ研究実績を派生してい
るというよりも、現在では諸分野の結節点となっていることを指摘
し、「総合説が真に結実する時は近い」と力強く述べている。
この本を読むとそこまで述べた理由がわかるだろう。
特に第2章 ★★★★★
シリーズ進化学の6番目である本巻は、生物の行動や生態を進化のレベルで解明した研究について解説している。具体的には、ダーウィンの時代からの古典的な問題である利他行動の進化や性淘汰、個体間の社会関係を複雑化するコミュニケーションの進化、種間の相互作用が引き起こす共進化を扱っている。言うまでもなく、どれも科学的な根拠に基づく研究の成果を引用したものである。テーマとしては一般受けの良いものが多いと思う。

個人的には、特に第2章の『血縁淘汰・包括適応度と社会性の進化』が非常にオススメ。“利他的な行動はなぜ進化できるか?”という問いは100年以上前からの議論の対象であるが、その歴史的発展、理論、状況証拠、最新の研究成果、今後の課題が65ページの中にバランス良く丁寧に盛り込まれている。レベル的には専攻の学部生〜大学院生が理解すべき知識だが、興味がある教養課程の学部生や一般の方も無理なく読めると思われる。そして何より面白い。これから動物の社会性を知りたい人には、本巻2章が最も重要な入門書ではないだろうか。