それはやはり、マックで彼女を聞いていて、もっと聞きたい!と思っていたファンにとって、それを裏切らない内容だったからであろう。
透明感、独特の美的世界はそのまま引き継がれている。
しかしディレクター(当時の恋人・ジミー・アイオヴァイン)のロック色の影響が色濃く出て、ハードに聞かせるナンバーも数多い。
このアルバムは当時のリスナーには新鮮で、強い刺激と共に覚えられているかと思われるが、現在聞くと、いかんせんレコーディングの音質や音楽そのものが古く感じられる。
また、演奏そのものも骨太と言うか、悪く言えばアバウトな面もある。マックの緻密さやその後のエレクトロニクスを駆使したサウンドを聞くとそこがこのアルバムだけ大きく違う。彼女のボーカルも、マック時代のか細さがまだ強くなりきれておらず、その後を先に聞いてしまった私にとっては多少ものたりなさもある。
大ヒット曲「Edge of seventeen」「Stop draggin' my heart around」もその後のライブ演奏のほうが私は好きだ。パワーが違う。
無名時代からの友達でその後恋人となるワディ・ワクテル、絶妙のハーモニーを聞かせ、彼女の音楽には欠かせない存在のバックコーラス陣などバンドとの初顔合わせという趣もあり、彼女のソロキャリアを華々しく飾った1枚である。