今までこんな声で歌う女性ボーカリストを聞いたことがありません。これは現在でも同じです。女性ヴォーカルと言うと、高音の伸びとか、声量とか「歌のうまさ勝負!」って感じですが、彼女は言ってみれば女ボブ・ディラン(あそこまでじゃないかなー)雰囲気が、彼女の最高の持ち味です。そしてまさかこんなかわいい顔からあんな声がっていうルックスとの不一致もまたいいです。
アルバムジャケットの写真を見ても分かるとおり、独特のファッションセンス、独特の価値観、独特の世界観をもった彼女はよく、ケイト・ブッシュと比較されました。しかしそこはアメリカン、どこかど根性的なところがあります。
この当時彼女は親友でをカウンセラーだった大切な人物をなくし、その夫と結婚しすぐ離婚したり、アルバムにも参加しているギタリスト、ワディ・ワクテルとの恋に燃え、と、私生活が凄く色々でした。彼女のこのマジカルでフェミニン、繊細で妖しい世界の仕上げのような感じです。
このあと彼女はよりロックへと流れていきます。妖精から派手なビジュアルのロックスターへ、時代もアナログ録音からデジタルへと変遷。これで70年代は終わった、80年代の始まりといった幕開けも感じさせるアルバムです。