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新版 古今和歌集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

価格: ¥1,180
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川学芸出版
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古今集の魅力ー仮名書きの美 ★★★★★
最初のレビュアーが書かれているように、至れり尽くせりの豊富な内容です。小野小町の表紙も妖艶でうつくしい。末永く愛読したいので、出来ればクロス張りの堅牢な表紙をつけたものも刊行してくれないかしらと思います。

訳注を頼りに、最初の200首ほどを読み進んだところですが、感心するのは、配列の妙です。20巻が、四季、離別、旅の歌、恋歌、、、という構成をとっていますけれど、じつは一首、一首が何とも言えぬ関連をもって配列されています。漸く漢詩から解放されつつあった宇多・醍醐期、勅命を受けて和歌編纂に取り組んだ貫之ら撰者たちの高揚した情熱と工夫が感じ取れます。

私は業平の「伊勢物語」が大好きですが、後代「物語」として結実することになる彼の多くの歌と詞書きが、あちこちに見られるのも古今集の魅力です。

この時代、独自の仮名文字が出来上がってきます。貫之自身も優れた書家だったようですが、少し時代がすすんで道長の頃には、いわゆる三蹟(小野道風、藤原佐理・行成)が活躍し多くの作品が残されています。貫之伝とされる高野切第一種・二種・三種、藤原行成筆と伝えられる関戸本古今集、曼殊院本古今集など、ニ玄社から原色刷りが出版されてますから一度ご覧になることをおすすめします。清らかで流麗なかな書きに息を飲む思いがします。「高野切」は、高野山攻略を計画していた秀吉が、和議に功績のあった高野山文殊院の興山上人に、愛蔵の古今集の一部を切り取って与えたとされる「古筆」の原点です。

変形仮名文字を少し学ぶ必要がありますが(角川版「携帯かな字典」がおすすめ)、それによって豪華な料紙や色紙に書かれた一千年も昔の古今和歌の一つ一つが実際に読めるのです。

私は藤原定家に関心があり、「新古今和歌集」も古今集同様愛読しますが、古今集の場合は、行成などの素晴らしい名品古筆が味わえる(この際かな文字書道も始めましょう)ことに大きな魅力を感じます。
至れり尽くせり ★★★★★
また一つ「古今集」の素晴らしい文庫本が出た、という印象。体裁は、同じシリーズの「新古今和歌集上・下」(久保田淳著)と全く同じ。見開き偶数ページに本文、奇数ページに三段組みの細かい字で、実に詳細極まる注釈と口語訳、さらに簡潔なコメント付き。これは「岩波大系本」や「小学館新編全集本」「新潮古典集成本」に負けず劣らずの丁寧親切振りで、ハンデイな文庫本にしてはお節介に過ぎるというか、これでもか、これでどうだと煩わしいくらい…デコレーション・ケーキ型とでも言いましょうか。巻末には「古今集」の成立史、特色などの解説、作者略伝・索引、初句四句索引など至れり尽くせり。見逃す手はありますまい。一首ごとの注釈にかなりのスペースを割いているので、他の文庫諸本の二倍ほどの厚さになっています。
ところで、小生は文庫本としては永年「窪田章一郎の角川文庫本」を愛読して来ましたが、たまには、本文だけで素っ気ない位の「岩波文庫本」も良いものだとこのデコレーション型の新版を読んで感じたものです。
それにしても「古今集」は良いですね。小生、20,30代の若い頃は圧倒的に「新古今」に傾倒し、「古今集」など、どこが面白いのかと思ってていましたが、40代後半以降、「新古今」の虚構性や幽玄体の嘘っぽさがやたら鼻に着き、今では他愛ないくらい技巧的、抒情的な「古今集」に埋没しています。紀貫之「袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ」や藤原敏行「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかねぬる」など「新古今」の作り話的いやらしさは全くなく実に素直にすっきり心に浸透してきます。正岡子規がなんと酷評しようとも、いいものはいいのです。