持ち歩くのに良い
★★★★★
これは良かった。その理由は三点ある。
第一点
右のページに和歌が、左のそれに訳と解説があるが、文庫本なのに訳・解説がついているのは助かった。
第二点
上巻の巻末には、和歌作者の略伝が、下巻のそれには、『新古今』の作品解説、和歌に現れる地名の説明、初句索引が付記されている。これは非常に便利である。
第三点
カバーデザインが凝ってある。上巻には定家と俊成卿女が、下巻には式子内親王と後鳥羽院が描かれているので絵を見て楽しめた。
総じて、文庫本として良く出来ていると思われる。
学生、研究者、古典愛好者必携
★★★★★
すべての古典和歌研究者から尊敬されている久保田淳先生の、最新の研究成果が何と文庫本で読めるとは、本当に信じられない僥倖です。
久保田先生には、すでに、『新古今和歌集全注釈』(講談社)という大著があり、さらに新潮古典集成『新古今和歌集』2冊本があります。
すばらしいのは、常に新しい知見を取り入れ、前著の単なる新装版では全くないということです。今回の角川文庫本でも、前2著には見られない見解や資料が盛り込まれています。特に、参考歌が増やされています。研究者必携とした所以です。
古典文学の精華を丁寧な解説付きで
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「『新古今』の文庫版ならもう岩波にあるじゃない」と思われる方が多いだろうが、
岩波版が(「佐佐木信綱校注」にも関わらず)解説も訳もないのと対照的に、
本書は見開きの左ページ全面が右ページの和歌の訳・解説に割かれており、
中でも解説は歌枕、歌語、本歌、さらに文法的なことまで言及している親切ぶりである。
その代償として上下二巻なのが難点と言えば難点であるが、訳・解説とも
新古今研究の第一人者である久保田淳氏の手によるものだけに初学者はもちろん
年季の入った古典ファンも満足させるものであることは間違いない。