凄いとしか言い様が無い… 七十年代の録音とは全てが違う、とっても濃密なバッハですね。
★★★★★
アカデミィ好きだったのでほぼリアルタイムで聴いて心地好いなあと思ってたんです、これは単に演奏がスマートで心地好いだけじゃあない!何て深い音色と表現でしょうか… 恥ずかしながら私はバッハは当時いろいろ聴いたつもりになってただけで肝心な所を聴いてなかったんだね、何だか暗くて重い一番を飛ばしていた反省しなきゃね。
このシェリングを聴いて一番の良さ深さが解りました、特に第二楽章は凄い!重量感溢れるストリングスに導かれ一瞬の無音から神懸かり的な… ただひたすら美しい… カンタータの中のソプラノアリアの様な清らかなる祈りですね、何だかね小学生の時初めて聴いたクラシック、ジノ・フランチェスカッティのアルビノーニ「アダージョ」みたいな神々しさです。
二番はもう少し軽快で爽やかな方が… と思ったけど、やっぱり第二楽章を聴いて納得、んーっ… ゆったりと歌わせて、じっくり聴かせる、シェリングの真骨頂ですね、素晴らしいね。
最後のダブルも、テンポ落とすと、二人にバイオリンの音の動きが手に取る様に解ります、しかも二人とも美しいし絡み合いが美しいですね。
オーケストラなんですがオーボエ他の管楽器の音がほとんど聞こえないですね(笑)「バイオリニストによるバイオリニストの為のバイオリン協奏曲」という感じなんです、チェンバロもたまに聞こえる程度… 今まで聴いてたのはチェンバロ奏者が弾き振りしているのが多かっただけに、このオーケストレーションには驚きましたね、流石に潔癖症のシェリング… 徹底した彼のバイオリン美学に貫かれた名演と言って良いんじゃないでしょうか。
これを超える演奏は多くない。バッハのVn協奏曲は演奏するのが難しい。
★★★★☆
Violin Concerto No. 1 in A minor, BWV 1041
Violin Concerto No. 2 in E major, BWV 1042
Concerto for 2 Violin in D minor, BWV 1043
Henryk Szeryng, violin & conductor
Peter Rybar, violin
Collegium Musicum Winterthur
ヘンリク・シェリングというヴァイオリニストは、もともと、クセも個性も強い人なので、こういう演奏になってしまうのは、理解してあげなければならない。
アンネ=ゾフィー・ムターが彼に弟子入りして、その個性を取り入れ、結局その影響がいまでも抜けなくて、ムターもまた、クセが強いヴァイオリニストになってしまった、と、理解するとわかりやすい。
1965年録音