今回初めて1928年に録音されたこの音源を聴いて、30年前に聴いたハートとは少し違う感じを受けた。声が若くちょっと高いのは当り前だろうが、それだけではない。なんだろうと考えたけどこんなことが言えるのではないか。戦後のハートはお行儀よくかしこまって聴く人たちのための演奏だが、戦前のものは楽しいダンスのための演奏なんではないか。
私は戦前ものも戦後のものもどちらも素晴らしいと思う。もし、あなたが昨日の私のように戦後のハートしか聴いたことがないなら是非、これを聴いて欲しい。フォーク・ブルースだといってハートを聴かない、こてこてのブルース愛好者にもこの戦前ものは聴いて欲しい。考えが少し変わるはずだ。そこにはブルーズ・マンとしてのハートがあるから。