ほんとだよ。
★★★★★
これは恐らく、七尾旅人という人が経験した本当の音楽なのだと思います。
音楽なのか、お話なのか、もうそれはもうどちらでも良いことです。
目の前の事象に身を任せてみよう、そしてイマジネーションを働かせてみよう。
ということを、聴いた「感想」というよりも「反応」として感じました。
確かに、一般的に受容される音楽と比べれば、
音楽的であると受け取られない部分がある意味では多い作品であると思います。
それでも、Disk2「世紀の爆笑」、Disk3「ラスト・レコード・オブ.ザ.ワールド」、
あるいは「airplane」という曲のパフォーマンスは本物であると言わざるを得ません。
この作品で、七尾氏がシンガー・ソング・ライターとして色々なものを背負う器であり、
本物の耳を持って、人の心を打つ歌唱をするミュージシャンなのだと感じました。
一聴の価値ありです。
嘘だと思うなら、聴いてみて、ちょっと真似をしてみたら分かります。
誰もこんなに自由に歌うこともできないし、
でも、もしかしたら、こんな風に歌えるのかもしれないと思わせてくれます。
コトバという名のトーンクラスター
★☆☆☆☆
七尾旅人はとても繊細な人だ。なので、9.11に対する彼なりの答えとしてこんな作品を作らなければならなかった彼に文句を言うつもりは全く無い。「お疲れ様。溜まってたもの出し切れたようでよかったよ」と言いたいぐらいだ。
悪いのは彼じゃなく、周りの人間だ。「これは音楽が商品であることに抵抗する音楽だ。云々」と拡大解釈して絶賛する真っ赤な評論家。「これはこれでいいんじゃないか」と盲目に作品を受け止める優しいファン。彼らは現代音楽に群がるスノッブ達のようであり、子供を甘やかせる母親のようでもある。
ダメなものはダメだとはっきり言うべきだ。この作品を認めるということは彼のこれまでの本っ当に素晴らしい作品たちを否定するということだ。それほど、この『911ファンタジア』はひどい。ラジオドラマのようなアプローチをするならもっとストーリーを練るべきだし、これまで以上にもっと音楽を作り込まなければならないはずだ。メロディがないから批判しているのではない。言葉、音楽が、あまりにも稚拙なのだ。
一応書いておくが、僕は彼の作ってきた音楽が大好きだ。好きだからこそ、こんなふうに書かせてもらいました。初心者は是非『雨に撃たえば』『へブンリィ』『ひきがたりものがたり』辺りを聴いてみてください。
七尾さん、いつかまた『驚』かせてくださいね。
まだ理解できない
★★★☆☆
このアルバムの良さはまだわからない。
でも七尾旅人はいつでもそうだった。
前作も前々作も、買って暫くはその良さが全く理解できなかった。
それが3回4回と繰り返し聴いているうちに変化を感じ
10回も繰り返そうものならもう抜け出せなくなっている。
手に入れた当初はプレイヤーを占拠していたのに
次第に飽きられ忘れられていく他の数多のポップミュージックとはまるで逆を行く。
3枚組の本作を理解するにはまだ時間がかかりそうだ。
今の時点での感想を書いておく。
「歌だけは楽しくなきゃ俺嫌さ」
七尾旅人は忘れてしまっていないのか。
それともそんな心配・非難をひっくるめてのこのアルバムか。
もう解っちゃった人、いますか。
音楽を求めた果てに歌を忘れた。
★★★★☆
ただ、それだけのことだと思う。
七尾旅人の歌はここには、存在していない。
でも、こんなものは音楽ではないと言う人は、
七尾がここまで魂をこめて三枚組相当のトラックを作ってしまったことを
どう思っているのだろうか。
小説などではないし、リリックでもないが、
歌にも通底している物語はそのまま音楽に乗って、世界を構築している。
これは音楽である。ただし、歌はないし、乗っているのはリリックではない。
それがそんなにも、受け入れがたいものだとは思わない。
ただ、ちょっとばかり真摯過ぎるのが嫌いな方もいるだろう、
故に星は4つにしておいた。
それでも、聞いてみてほしい。これが世界に必要ないものだとは思わないし、
それは僕だけの偏見ではないだろう。
心が動かされる音楽!
★★★★★
何だこのアルバムはーっ!というのが率直な感想です。
BGMにはならないし、ポップミュージックですら無いのかも知れない。
このアルバムを流してしまうと思考の視覚を、この音楽群から外すことが出来なくなる。
このアルバムは、ここで表現されたものはこの世界のわずかな一角をあらわしいて、きっとこれを聞く人は、その海に沈んだ隠された世界の姿に想いを馳せてしまうのだと思います。
本当の意味で人のために歌をうたう人が、そんな自分のために曲をつくると、こういうアルバムになるのではないでしょうか。
心の一番深いところで響くアルバムです。
この壮大な物語から受け取ったのは、優しさでした。
時間に余裕のある方、必聴です!