唯一無二
★★★★★
既に、他の方々の素晴らしいレビューがあるにもかかわらず、
この人の作品だけは外せない。
『ガリバー2』この一曲だけでも聴いて欲しい。
どうしようもない、本当にどうしようもない日本の音楽界の
結末、そして始まりをこの一曲に僕は感じました。
大袈裟なようですが、この曲、そしてこの作品はそれだけの力を
宿しています。
聴いたことのない人は是非。これを聴かないのは嘘ですよ。
以上、駄文失礼しました。
90年代の最後に現れた奇形の名盤
★★★★★
1stでこんなの作っちゃったら、今後どんなアルバム作れるんだっていうの!
異常で過剰で歪んだ音楽に乗せて、もはや何と言っているのか全く聴き取れん歌唱法で歌われる。
それでも、とにかく美しいメロディーと声であることは完全に分かる!
混沌を音で表現したら…という1曲目から、コルトレーンのメロディで歌われる素晴らしい最終曲まで
全曲美しい。これだけ完成度の高い90年代のアルバムってそうそうあると思えない。
天才って気軽に言うのもどうかと思うけど、それでも天才だと言ってしまうよ。
その後、この異常な完成度のサウンドをあっさり捨てて次作、また次作とどんどん変化していくところが潔い!
七尾旅人のデビューアルバム。
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世代論では語りたくないが就職氷河期に生きた私のような人間にとって、当時の心情を思い出させてくれるアルバムのひとつです。音楽だけではなく、当時あらゆる媒体で90年代中期に起きた「事件」により疲弊しきった「日本社会」を、新自由主義的に再構築し始めた頃で、精神面では、現実(終わりなき日常)を乗り越えるための処方箋を皆が模索していた時期でした。このアルバムは当時の「切羽詰った感」を最も感じさせる、名盤です。といっても、所々歌詞が青臭くて、演奏的に稚拙な部分もあるのですが、それを差し引いても余りある才能と情熱を感じます。
分裂気味なワンダーランドとも形容できる世界観、数種類の声質、呻くような唄、コーラスワーク、皮膚感覚を研ぎ澄ましたような歌詞、手書きのブックレットの字や気持ち悪い絵など、非常に個性的。遊園地のBGM風マーチにいきなりドラムン・ベースをぶち込んだ1、ポップなシューゲーザーの2、倒錯的なボーカルジャズ3、ゴスペル、宗教音楽をポップ解釈4、奇妙なコード、シーケンス、展開の5、クラシカルな3拍子の曲6(オープニング1の最初はこの曲の1部分の変奏です)、10分強のプログレッシブ・ロックな大作7、ソウル音楽を奇形にしたような8、フォーキーなサイケ・ポップロック9、極北の4畳半サイケデリック10、ガレージ・オルタナ系(でも最後のチャイニーズなメロはなんだろう?)11、暗めのアーバンソウル・ジャズ12、、、特に私は後半の8〜12曲辺りが好きです。
もし、七尾旅人氏の音楽を聴いたことのない、未来に絶望した日本の若い人たちがいたら、是非とも購入して聴いてほしい。
全ての芸術がどうしようもなくひどすぎる現実と対峙させようとするスピリットの根底を鼓舞するものであって欲しいと、切に願いたい、そう思わせてくれる数少ないアルバムです。
やっと手に入れた
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2ndの「ヘブンリィ〜」でノックアウトされ、それ以降の作品の濃密なクオリティの高さに圧倒され続けてきたわけですが、この1stだけまだ聴いていませんでした。ようやくここに聴くことができました。いやあ、七尾旅人の個性は最初から確立されていたものだったんですね。誰かと比較なんて出来ない圧倒的で独自な才能が、1stにしてほぼ完成されています。それでいて、メロディセンスもあり、素直に美しいメロディだなと思える曲を作っていることも、彼の音楽家としての魅力だと思います。それにしても、これだけの作品を作りながら、まだまだ知名度はあるとはいえない状況は、J−POPの悲惨な荒廃を感じずにはいられません。
ネット時代の配信・試聴などいくらでも良い音楽を知ろうとすれば、触れやすくなった時代、ただ音楽を消費するのではなくて、ぜひここに辿りついてほしいなと思います。誰にだって、志のある音楽とそうでない音楽の違いは聴いていくうちに分かると思います。
世紀の爆笑
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内容(「CDジャーナル」データベースより)
またも登場、宅録系王子様。岡村靖幸に端を発したこうした系譜が、奥田民生のソロ・デビューをへて、より箱庭的な性格を強めてきたのを実感。民生ほどの揺るぎなさは、さすがにないが。これ以上ヴォーカルで格好つけるのは、やめたほうがいいと思う。
世紀の爆笑。