それにしても、サウンドはともかく、声が凄い。声だけでサイケデリックな感覚を生み出すという圧倒的な存在感。本当に才能のあるアーティストのひとりだと思う。
この作品には、我々が社会化されていく過程で失くしていくものがあるのではないでしょうか?奇跡的なバランスで、美しいメロディと、とてもマジカルな旅人君の声が同居しています。歌詞は聞き手がそれぞれ物語を重ねることができるため、一度ハマると抜け出すのは難しいと思います。サウンド面では、アコギやピアノといった限られた楽器だけの構成で音数が少なく、旅人君の作品の中でも最もシンプルです。
個人的には、表立って誰かに薦めることはないけれど、一番大切にしたい作品の一つです。
とヴォーカルだけで創り出される音楽はかつて僕の頭の中で鳴っていた。確かに僕はこの音をかつて知っていた・・・。そうして思い出すのは夏の記憶、空が青くて、入道雲。何の変哲も無い町の風景なのに一瞬時間が止まったみたいな、とても不思議で幸福な記憶である。このMAXIを聴いたときブランキーだけが捕まえることができたものを、手に入れることができるミュージシャンが誕生したことを知った。とても嬉しかった。