OLD CAMERAと写真に同化した幸せな人
★★★★★
この本の写真が魅力的なのは当たり前だ。カメラという「物」と写真を撮るという「こと」が
何より好きで好きでたまらない一人のカメラマンの写真であれば例えそれが悲しみに打ちひしがれた
ポートレートであっても見る人はある種の幸せを感じる。僕が特に好きなのはフランスやイタリアの
何気ないカッフェやバールでの食事の写真だ。蜂谷氏はそれがおいしそうだから撮ったのではないような気がする。彼の指がシャッターボタンをその時無償に欲したに違いない。それは「物」と「こと」の強烈な引力だ。それを持っている人のみが写せる写真。そんな本だと思う。