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赤光 (岩波文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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茂吉の赤 ★★★★★
赤といっても色々な赤があります。しかし斎藤茂吉の赤は丹頂鶴の頭の赤。深い丹色のような気がします。万葉集が好きだったからでしょうか?この深い赤は額田王の紫野行き標野行きのような赤のような気もします。中学の国語の教科書で習った「たらちねの母」の歌。天井の高い梁の高い田舎家を想像しました。家を屋根を支える太い柱のような冷たくて重くて深い哀しみです。節くれだった土臭い悲しみです。医者であって文学者であった茂吉と鴎外とは、どんなに違っていることでしょう。同じドイツに留学したのにスタイルが海と山ほど違います。それは単に歌人と小説家だけではない何かこころの底にある本質的な色の違いのように感じます。

鴎外は青の人。そして茂吉は赤。熱い情熱と焼け付くような悲嘆。そして絶望と諦観。前世紀日本を代表する素晴らしい歌人です。
近代短歌の源流 ★★★★★
云わずと知れた近代短歌集の古典である。素朴で力強い歌が多いのは、斉藤茂吉と言う興味深い個性が、この歌集に反映されているからなのであろう。それは、長く読み継がれ、また熱狂的に好まれる要因の一つである。北杜夫さんが、近年お出しに成られた一連の「茂吉伝」ともいえる「回想記」は、この「赤光」を鑑賞する上でも、大いに参考になるものです。茂吉の歌集ー「赤光」や「白き山」には、一度触れたら、忘れられない歌が幾つかある、「死にたまう母」や「一本の道」の連句の中にも、素朴で一徹、一途で、頑固で癇癪持ちの寂しがり屋、斉藤茂吉と言う偉大な歌人の個性が歌のそこかしこに見出される。

「短歌」が一部の趣味人にしか、詠まれないのではなく、日本人の感受性の極致として、精神の豊かさをもたらすものである事を、この歌集は示しているようです。