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おぢさん

価格: ¥2,310
カテゴリ: 大型本
ブランド: 小学館
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 『ゆきだるま』のレイモンド・ブリックスが、今回少年の相手に選んだのは、なんと小人の、おじさん。しかも、かわいらしいはず、という期待をあっさりと裏切る、理屈っぽくて頑固で不潔な(脇をぼりぼり掻くし、とてもくさい)、おじさんなのだ。ブリッグズお得意のマンガのようなコマ割りをしたページと1枚絵のページを組み合わせた構成で、独特の雰囲気。

   月曜の朝、真っ裸の小さなおじさんに起こされた少年は否応なく世話をやくはめになる。パンや牛乳、ジャム、紅茶、銘柄(庶民的で体に悪そうな)を指定して、おこづかいで買わせる。部屋で肉を焼かせる。ビールを飲む。上流志向の人々を皮肉るようなおじさんの態度は、痛快だ。

 「わしは小さくなんかないぞ。わしは、わしの大きさであるにすぎん。きみはきみの大きさであるようにな」。おじさんは、かわいい小人、珍しい生き物として扱われることを断固拒否し、大人の毅然とした態度を決して崩そうとはしない。一方で、小人である限りは誰かの手を借りなくてはならないという事実も存在していて、そのことでふたりはきちんとぶつかり合い、ケンカもする。そんなふうにして、師弟関係のような固い友情がふたりの間に築かれていく。

   訳者、林望の「あえて辛口の乾いた言葉で訳してある」という言葉どおり、文章量もとても多く、難しい言葉が頻発する。だが、臆せず、子どもにも読んであげたい。すぐには理解できなくとも、愛すべきこの「おぢさん」に、子どもたちは成長するごとに違う感情を抱くことだろう。(門倉紫麻)

人間性に正面から向き合った作品 ★★★★★
片手でつかめるくらいの小さな男が、子供の部屋にやってきて
いっしょに生活するという話しで思い出したのが、昔観た映画「水の旅人」。
男は侍で、ファンタジー仕立ての作品でした。

さて、この「おぢさん」のほうはと言うと、体のサイズ以外は非常に
まっとうな人間として描かれています。特別な能力がある訳でなく、
腹もへれば、トイレにも行くし、風呂に入んなきゃ臭いしで、本当に
血の通った人間として存在感にあふれてるんです。

しかも突然この世に現れたわけでなく、それなりの人生経験や人間界
での修羅場をくぐっているようで、男の子との問答ではするどい言葉
でやりこめ、うまく自分の要求を通してしまうしたたかさも持ってるんです。

とはいっても悲しいかな、男の子の世話なしではまともに生活できない。

絵本としては異例に文章量が多く、全てが2人の対話。
2人の微妙な力関係が揺れ動く中、人間と人間のつきあいについて、
根源的な所へと導かれていきました。

ちょっと余談を。
職場でニガテな上司がいて面と向かうと緊張するのですが、
この本を読んだら、不思議と無意識に作っていた壁がくずれていくのを
体感しました。

どっぷり英国風のとってもいい絵本 ★★★★★
『スノーマン』のレイモンド・ブリッグズの絵本が、『イギリスはおいしい』のリンボウ先生こと林望料理人の手にかかってできた辛口の絵本。リンボウ先生のラヂオ番組を聞いて早速購入。“The Man”を『おぢさん』と訳すところはさすがリンボウ先生。

ところどころにでてくる英国の日常品ブランドの数々は、以前住んでいた者にはとても懐かしいものばかり。ゆで卵の「黄身はトローリと。とはいえ、白身はしっかりと固まっているようにな。」なんてところは、おもわずうなずいてしまう。原本は1992年に出版されているが、当時訳されたとしても、こういうニュアンスが分かる人はそれほど多くなかったのでは、と思う。90年代の英国ブームを経て、満を持しての訳出。

どっぷり英国風の、人と人がつきあうってことはどんなことなのか、を考えさせてくれる、とってもいい絵本。

ところで最後のページのおぢさんの置き手紙。原本ではどんな字なんだろう?

あぁ、また英国に行きたくなっちゃった。。。

辛口絵本 ★★★★★
ほのぼのストーリーの絵本と思い購入してみた所、てんで正反対の辛口絵本(笑)しかし、自分がこうなるだろう・そうなるだろうの予想とも相反し、大人の私でも充分に読み応えのある絵本だと感じた。鉛筆画タッチの繊細な絵も勿論素敵ですし、レイモンド氏の絵本は小学校の時にスノーマンを購入して以来の久し振りとなりましたが、スノーマンからは想像も出来ない人間くささがあり、違った意味での面白さを痛感させられる。貴方の本棚にもこの個性的な絵本を加えてみませんか。
これは本当に素晴らしいです。 ★★★★★
さりげなく本屋に置かれてあったのを読んでみたら「どっひゃー!」
すばらしいです、この本。だいすきです、これ。

この12月に発売されたばかりだから最新作かと思いきや、90年に英語版が出されていたみたい。な、なんで10年もほっておいたんだろう?ブリッグズのまだ邦訳されていない絵本(コミック?)は2冊ほどあるんだけど、それらも素晴らしいにちがいない、ともう、確信してしまいました。

『さむがりやのサンタ』や『スノーマン』のような明らかな【マンガ】ではなく、絵本とミックスされたようなスタイルで、字も多くって、繊細で優しい男の子とマッチョで(身体は10センチほどだけど)けっこうガサツなおぢさんとのやりとりが楽しめます。

かといって、楽しめるつったって、『サンタ』みたいに無邪気なたぐいのものではなく、人間の心の奥にひそむゴタゴタしたモノ、闇、をかきわけつつ楽しむ、といったかんじで、うーん、オトナ向け。個人的にはおぢさんが屋根の上で、暗い月を眺めている、そのうしろ姿がスキ。【生活】を背負って生きていく中年サラリーマンの姿にダブります。

あらすじは、普通に両親と暮らしている少年のもとにある日ものすごく小さい【おぢさん】が現れて、なぜか少年が彼のお世話をすることに・・小さすぎるもんだからこの世話がなかなか大変で、しかもおぢさんがなかなか自己主張の激しいやつで・・というもの。

て書いたら「なんだ、それだけ」と言われそうですがこれがなかなか読ませるのよ。ふかい!とても!
同じ作者の『風が吹くとき』はモロに原爆の風がこちらに吹きつけてきて少々読むのが辛いけれど、この『おぢさん』は『サンタ』の楽しさと『風』の辛さを足して2で割ったようなおもむき。つまり、ちょーどよいのでございます。

辛辣な言葉による大人のための絵本 ★★★★★
絵本というスタイルや『おぢさん』というひらがなのタイトルにだまされてはいけない。
ここには人間の出会いから別れまでの間の思いやりやら対立やらといった様々なやりとり、心の動きが淡々と観察され、辛辣な言葉に凝縮されている。

絵本であるからもちろん、絵も見所であるが、この絵本は文字も多く、イギリスの生活に密着しすぎて日本人にはなじみのない事柄などについては小さな文字で何と語釈までついている。
もちろんこどもに読んでやって良いものであるが、この内容には、むしろ大人の方が強い衝撃や共感を受けるのではなかろうか。