インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

李白―巨大なる野放図

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 平凡社
Amazon.co.jpで確認
李白の魅力に惹かれる ★★★★★
 本書、問答形式のスタイルは杜甫篇と同じ。何と言っても、この詩人は詩仙と言われるだけあって、魅力に富む。諸国遍歴、朝廷にも仕えた後、失意の漫遊時代、流罪、赦免、そして晩年の生涯に作られた数々の漢詩。その中から代表作、傑作選に問題点を見出し、どこにその詠作の意図があるかを探求する本書。類書に見えない新説、従来の説への疑問も提示されている。
 ーちなみに李白は自ら朝廷を去るのですか、追放されるのですか。
かたちとしては辞表を出して、玄宗皇帝から許可を得、退職金でしょうか、黄金をたくさんもらっていします。ただ実際には讒言がかなり玄宗皇帝の耳に入っていたようで、依頼退職のようなかたちを取ったとはいえ、免職に近かったでしょう。現在でもそういうケースはありますね。(230頁)
 巻末で李白を次のように印象的に評している。
「ひと言で言ってしまえば、李白は巨大な野放図。振幅が大きくてエネルギッシュ、自分で自分のエネルギーをもてあます。対して杜甫は偉大な誠実さですね」
「李白は垂直志向、杜甫は水平志向」と対比し、共通するのは、ともに時代に合わず、官職に恵まれない生涯を送ったこととしている。
  
平凡社の漢詩プロジェクトに期待 ★★★★☆
 NHKラジオの古典講読で放送された内容が、平凡社の漢詩プロジェクトの目にとまり『杜甫』とともに出版されました。『李白』も『杜甫』も、その生涯の歩みに沿いながら、代表的な詩を鑑賞していこう、という基本構成。元々、ラジオ番組ですのでわかりやすい。学者さんである宇野先生に、声優として有名な江原さんがいろいろ質問していく、という内容なので漢詩についてあまり詳しくない私のような初心者でも興味深く読み進めることができました。

 お恥ずかしい話ですが、中国の詩人に関して、その伝記を読んだことがあるのは陶淵明ぐらい。ですから、李白の生涯が、かなり波瀾万丈であったということぐらいは、なんとなく知ってはいましたが短い宮廷詩人の時代が玄宗皇帝、楊貴妃の最盛期にあたっていたり、楊貴妃に嫌われて追放同然に宮廷を去ったり、その直後に杜甫と出会って2年間も放浪したり、その後も安史の乱に巻き込まれて刑死寸前で救われたり、流されたりと本当に波瀾万丈だったということまでは思いもよりませんでした。しかも、こんなにオールスターキャストに恵まれた生涯だったとは!

 でも、まあ、なんといっても魅力は詩。宴たけなわの状態を詠った「客中行」もいいですし、宮廷詩人時代に戦争の悲惨さを詠った「戦城南」の最後の4節も凄い。また、マーラーが『大地の歌』の第一楽章につかったテキストの原文「悲歌行」の出だし「悲来乎(かなしいかな)」もいいんですよねぇ。