うすうす感じていたけれど
★★★★☆
日本人の話す英語は聞き取りやすい。そして英語を母国語にしていない外国の方の英語ほど聞き取りやすい感じがしていて、本書によりなるほどそういうことなのかと改めて思ったわけです。
外国の方の話す日本語に「違和感」があったととしてもコミュニケーションに支障をきたさなければ問題はありません。お互いに意思疎通できることに意義があるわけです。筆者の言う「道具としての英語」「コミュニケーション・ツールとしての英語」にはそれ以上の意味はなく、道具として使いこなすことができれば所期の目的は達成なのですね。英語を使ってみよう・使ってみたいという気持ちにさせていくことこそがまず大切なのだ、という点では賛成。ではそのうえで、より高いところに持って行くにはどうすればよいか? その段階で初めてネイティヴの「洗練された」発音なり言い回しなりを勉強していけばよいわけです。
現在小学校でも英語の時間が入ってきました。まだまだ模索の段階ですが考え方としてはこっちの方向に進んで行っているとは思います。しかし本書にあるように、教材CDの発音はネイティヴの発音です。「正しい」英語として模倣の対象としているという点ではまだ小学校英語も「コミュニケーション・ツール」としての英語に対して足踏み状態と言うことかもしれません。日本の英語教育が受験英語教育からまだ脱していない状況ではなかなか先へは進まないでしょう。
次の著書は「ニホン英語」のカリキュラム期待
★★★☆☆
自分のなまりを気にすることなく話せば相手に伝わるので、
多少文法や発音が英語圏の人と異なっても、英語を使えば
よいという末延岑生氏の意見に賛成です。
英語教師の私としては、現在、末延先生がどのように生徒に
英語を教えているのか興味があります。
昨今、Globish についても英語を基礎にした言語として
話題になっていますが、とにかく相手の気持ちや
背景を意識しつつコミュニケーションをとることが
ベースにあると思います。
末延岑生先生の次の著書にはニホン英語の指導書か、
学校でどのように先生が教え方を変化させ、生徒に英語を
身につけさせたのかという著書が出版されることを期待しています。
ほんとうに、この本の言うとおり。
★★★★★
この本には、(a)アメリカやイギリスなど英語を母語にしている人の英語はネイティブでない国の人たちには通じにくいこと、(b)一方、ニホン英語はそれらの国でよく通じることが記載されています。
ネイティブの英語は、(a)子音だけで母音を伴わない発音が多くあり聞き取りにくいこと、(b)本来の単語の切れ目ではなくリズムのいいところで区切るので言葉の意味を拾うのが難しいこと、(c)リエゾンでもともとの単語が分かりにくいこと、などなどその理由が示されています。
考えてみればもっともなことばかりで、私自身、ネイティブでない国を旅行して、英語に堪能な日本人よりよく通じた経験があります。
「ネイティブのような流暢な英語を目指すのではなく、堂々とニホン英語を話せばよい」という著者の考えは、英語下手な私たちに勇気を与えてくれます。
外語大学などで特別に勉強した人でもない限り、「発音はあってる?」とか、「文法は間違ってない?」とか考えて萎縮してしまうより、「簡単な英語を、多少間違っていても、とにかく話す」ほうがきっと通じるはず。
考えてみるとあたりまえのことですが、そのことを改めて認識させてくれる本書はとても有意義な本と思います。
(ただ、本書を読んで「まじめに学習しなくてもよい」と受け止める人がいるとすれば、かえって逆効果と思いますが・・・・)
力づけられました!
★★★★★
英語は「ネイティブに」という宣伝文句が
ずーっと頭にこびりついていたが、
どう考えても、あんな発音はできないと思っていた。
それに、たまたま話す機会があっても、
滅茶苦茶な英語を話している自分に気づいて、
そうするとなおさら話せなくなって、
英語からずいぶん遠のいていた。
が、
確かに、商社マンの英語なんて、
発音がちゃんと出来ているわけではないのに通じている。
それに、そもそも明治の偉人たちは、
発音記号なんか知らなかっただろうし、
カタカナ英語だったはずではないか!
そんな日本人の英語でも、
充分に通じる、ということが、
この本には書いてある。
「通じればええやないか!」
そんな著者の声に勇気づけられる人は、
多いのではないか。
世界のなかでも、
かなり国際化が遅れているのが日本人だという。
とにかく「話してみる」「やってみる」
そんなことが今、いちばん求められているのではなかろうか。
個人的には、
アメリカ人が、「止まりますか?」と聞いたところ、
運転手が「止まりま」と答えた。
このバスは止まるのか、止まらないのか、どっちなんだ!?
という冒頭の、大阪のバスでのエピソードがすきだ。
英語の進化
★★★★★
英米のネイティブの英語は、世界中のノンネイティブたちにとって「わかりにくい!」と言われているらしい。国際会議ではノンネイティブが英語で話すと皆に通じるが、ネイティブが話しだすとネイティブ以外はたちまち通訳のイヤホンをつけるというのは面白い話だ。
また、筆者が中国で英語を教えているとき、アメリカのネイティブの教師が、生徒から「発音が聞き取りにくい!」という理由でクビになったという。
もし英語が唯一の世界共通語になるなら、母音を省略しない、聞く人の立場に立った、聞き取りやすい発音に変えたほうがよい、ともとれるような発想は目からウロコである。
まあ、筆者は、日本の英語教育の膨大な時間のムダ使いについて改革を訴えているわけだが、個人的には、21世紀はニホン英語のような、母音をちゃんと発音した、世界中のノンネイティブの人にもわかりやすい英語が主流になるかもしれないと思う。
ネイティブは怒るだろうが、そもそも英語だってどんどん変化しているのだ。21世紀は英語の大変革の時代になるかも、と想像しながら楽しく読んだ。