ここにには、60年、70年、80年、90年、そして100年の長きにわたって人生を歩んできた人たち、何かに一生を捧げた人たちの滋味溢れる珠玉の言霊が集められています。

これまで積み重ねてきた年輪と経験、そのときの置かれた環境などによって、人それぞれ受け取る意味合いは異なってくるでしょうが、誰でもこれらの言葉の中に必ず心にまで届く言葉が見つかるはずです。

これらの言葉は本書の元になった雑誌『サライ』の「サライ・インタビュー」から抜き出された言葉ですが、できれば全文を読んでみたいものです。

あと内容とは関係ありませんが、本書は文字が大きく老眼が始まった私には助かります。もっとも、目のいい人にとってはもっとぎっしりと詰め込んで欲しかったと思う人もいるかもしれませんね。

本書を読んで、一所懸命精いっぱい頑張りながら、それでいてごく自然体でさり気なく生きることの大切さをしみじみとかみしめる良い機会となりました。

　百名を超える各界有名人の注目すべき言葉、名言をまとめたもの。その中に自分の好みのものを読者はいくつか見つけることができるに違いない。たとえば、次に紹介する人の言葉を注目する人があるかもしれない…
　
　人生をひたむきに生きる男たちの勇姿が、世代を超えて読み継がれている「城山三郎さん」（作家）…「一日即一生」という言葉がありますが、日々自分にそう言い聞かせて、暮らしています。
　
　辛辣だがユーモアあふれる言葉で、常識の危うさを看破する「山本夏彦さん」（コラムニスト）…大切なのは空理空論です。株の話、ビジネスの話ばかりしていると卑しくなりますよ。
　
　身辺雑事から日本の文化を闊達に語る、食文化ブームの火付け役「多田道太郎さん」（仏文学者）…病気だって、抽選に当たったみたいなものですからね。癌だって肺病だって、死ぬためのビッグチャンスなんだから。生真面目に死を直視することはないんです。

　京大退官後はフリーターを自称、好奇心を深めながら博物学的な評論活動を展開してい「森敦さん」（数学者）…とりあえず頭の中に森を抱えておく。これが、物好きで粋やという美学です。…まあ人間、変わって当然、矛盾はつきものですわ。

（一言感想）何か思いつめないで、肩の力を抜いて生きる大切さを教えられた気がいたします。