分かりやが追及されつつも専門的知識の導入となる書籍
★★★★★
国際政治学の概説書、入門書が現状分析と理論解説の間で論点が集約しきれず、読者に何を伝えようとするのか明白でないものが散見される中で、この本の試みは分かりやすい。
各章では理解しやすさが追及され複雑な理論解説は回避されている。しかし学問分野それぞれの国際社会の現代的諸問題は広くかつ詳しく記述されている。また、いずれの著者も各分野における「課題」を示し、読者が問題意識を持てるよう工夫している。
特に国際社会の主要アクターの位置づけ、またそれら相互の関係を習得しようとするのであれば本書の意義は大きいであろうし、今後専門知識を得る糸口を与えると思われる。
このように方向性のはっきりした入門書が多ければ、国際政治学に興味があるのに手に取った入門書に問題があり国際政治学を理解不能な学問として以後避けて歩く、ということはなくなるであろうと思う。