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クラクラ日記 (ちくま文庫)

価格: ¥972
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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退屈せずに一気に読める ★★★★★
作家のおやつという本で坂口安吾のエピソードを読んで
その奥さんが安吾について本を書いていると知って読んでみる。
安吾の荒唐無稽の無謀さに、奥様の三千代さんの切迫しつつもどこか
のんきさのある雰囲気がすごくマッチして、面白かった。
きっと安吾の奥さんは三千代さんにしか努められなかっただろう。
もう驚くようなエピソードがてんこもりで、その辺の退屈な本を
読むよりもよっぽど面白くてあっという間に読める。
以前高峰秀子さんのわたしの渡世日記を読んだ時もおもっけど
戦後を生き抜いた女性はバイタリティが全然違うと思った。
先日読んだ渋澤龍彦との日々は、奥様と渋澤龍彦との
のどかで優雅な時間の流れを感じられたけど、こちらは
渋澤夫婦とは対極をなすくらい、激しい夫婦生活だと思った。
とにかく面白い、最近本がつまらないなと思う人に読んでほしい。
たまらん人 ★★★★☆
三千代夫人が坂口安吾の「青鬼の褌を洗う女」のモデルだったというので、興味を持ってこの本を買った。それにしても坂口安吾というのはたまらん人である(「中島らものたまらん人々」参照のこと)。芸術家の配偶者の忍耐力というのは私には理解し難い。この本から坂口安吾の魅力は伝わってこなかったが、三千代さんが、文士によくもてたろうことは想像できた。
尊敬はどこまで人を支えるのか ★★★★★
坂口安吾の奥さんの回想録です。
著者は政治家の息子とままごとのような結婚生活を送り、子をなしますが、本人の望みで離婚して実家にいました。安吾と出会い、子供を捨て、生活を始めます。
それまで、女性との暮らしなんて営んだことのない、日本の無頼派の雄は深く妻を愛しながら苛烈に当たります。今で言えば、立派過ぎるDVの果て、自身は精神を病みました。
そんな中、結婚生活から逃げると言う手段も知っているはずの著者は、目に映るもの、耳に入るもの全てに心をさらし、必死に安吾と全てを共にしようとしました。
女の愛は尊敬に始まり軽蔑に終わると言った昭和のSF作家がいましたが、これだけのことがあっても著者は安吾を軽蔑できなかったのですね。
だから、安吾の死後も抹消したい記憶ではなく、心の中の大事なものとして本に著すことが出来たのでしょう。
松本清張が解説を書いているのですが、これも又傑作です。清張は人を誉めないことでよく知られていますが、本書に関しては大絶賛です(それ以外のところには意外な人物に強烈に毒を吐いていますが)。
引き込まれるように ★★★★☆
一日で引き込まれるように読みあげてしまった。
人を愛して泣かないで済むことを想像する方が難しい。まして坂口のような人と暮らして泣かないで済むだろうとは思わない。彼は好きなように生きる人だ。
破天荒に生きる坂口安吾の妻が描く、日記。とても素直に、包み隠さず、自分には、こんな生き方ができるだろうか。