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立原正秋

価格: ¥1
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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秘められた哀しい生涯 ★★★★☆
学生時代の一時期、立原正秋氏の小説がけっこう好きだった時期があった。
純文学的な要素があるが、読み易い。読み易い割に、研ぎ澄まされたような描写がある。そう感じていた。直木賞を受賞しているが、それ以前にも芥川賞と直木賞の候補になっており、文壇での評価が、一様でなかったことを示してる。ただ、当時、立原氏の出自などについては、本書で描かれるようなことがあったとは知らなかった。

本書は、立原氏の友人でもあった著者が、立原氏の死後、その生涯を丹念に調べ、描いたものである。
印象に残るのは、氏が11歳の時に日本に来ていること。その作品に描かれる“日本の美”は、その知識も感性も、11歳以降に身につけたものであり、強く意識して得たものだったのだ。日本人でも、11歳以前にそういった知識を蓄えることはほとんどないが、やはり感性の部分は、幼少期に自然と育まれる場合が多いのではないだろうか。生まれながらの日本人以上に“日本の美”に強くこだわったのは、そういったことが影響していると思わざるを得ない。
壮絶であり、哀しい人生である。