合氣道を学んでいる人や、「合氣道の技って本当なの？」と半信半疑な人に
お勧めの一冊です。

「なぜ力を抜いた方が強いのか」と言う疑問の科学的な答えに納得でき
ます。私も合氣道を学んでいますが、リラックスすることの重要性を
理論の面からも理解できたので、これからよりリラックスして本来の
合氣道に近づけるよう稽古します。

人間の身体を授かって生まれたからには、その能力を最大限に活かして
みたいですね。そんな気持ちを育ててくれる一冊です。著者の作品を
もっと読みたくなりました。

実技の説明は、一般の読者には判断できないので、面倒になってしまいますが、本書の写真を見る限り、我流というしかありません。
武術は伝統があるほど、
どの流儀であるか?
誰が師匠であるか?
何を教授されたか?
を、公開しなければなりませんし、伝承系統はハッキリしているものです。
伝承系統が明瞭でない武道家など、存在しません。
著者は、一体全体、誰の弟子なのでしょうか。

自分自身が大東流合気柔術を修行していることもあり、その参考にと思って購入した本です。
購入してから気づいたのですが、著者はNHKでも紹介された「ゆる体操」の提唱者であり、実績もある方のようです。
本書で紹介されている「身体意識」の理論は、合気を科学的に読み解く上で非常に興味深いものだとは思います。
ただ、本書ではそれらの理論を「知っていて当たり前」が前提なのか、説明が簡潔すぎるような気がしてなりません。
それと疑問に思ったのは、岡本正剛などのご存命の方はともかく、武田惣角などの故人の「身体意識図」は、一体どのようにして測定したのか？ということです。
達人の方ですと、写真を見ただけで「その人のすごさ」が分かるようですが、科学的なアプローチをする際に、故人の写真だけでここまで詳細な身体意識図なるものが描けるのでしょうか。科学的に解読するならば、具体的にどのように分析したかを説明することも必要かと思います。
別に本書が眉唾モノと述べているのではなく、1冊の学術書としての完成度を高めてほしかった…という観点から、星は3つとさせていただきます。