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「人口減少」で日本は繁栄する―22世紀へつなぐ国家の道

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 祥伝社
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質・価値創造への転換点 ★★★★★
 端的な話にはなってしまいますが、人口減少が新しい文明の転換期というのはなるほどと思います。量の経済から質・価値創造の経済に移行出来なければこの国もそこまでって事ですかね。

 本書で出てくる、食糧問題・エネルギー問題・半鎖国政策・風流人の出現は必見です。現在蔓延っている通説が誰の都合で蔓延っているのか考えると中々面白いと思います。

ps 人口減少で困る人・・・子分と毟り取れる金額が減る方々。実際に減少が自分達にどれ位悪影響があるかと考えた時に以外と少ないと思うのは私だけですかね?質・価値創造の経済の条件を満たしているとしたら。
昨今の人口論は本末転倒に陥っていないか、提起の書 ★★★★★
初回投稿:2006/5/6〜2008/1/25迄に:【8人中6人が参考になった】

実しやかに流布される人口減少に伴う国家衰退論。然し蓋を開けてみれば
年金と市場縮小に費やされる即物的な言動ばかりが目につく現況。そこに著者は一石を投じる。

延々右肩上がりに人口が増加することを前提に描いた青写真など空手形と同義であり
現状は役人の将来の展望に関するご都合主義、先送り体質が露呈した事による危機論の扇動という色が濃い。
どうにもマスメディアは役人の言い分を垂れ流す嫌いがある。

現在の規模を前提にした維持に拘るのなら人口減少は困るだろうが、それは官民問わず国に寄る者の危機感の吐露に過ぎない様にも見える。
人口減少危機論者に統制経済を志向する人々が多い事も無縁ではないのだろう。

人口増加が繁栄に繋がると信じて疑わない人々も多いが、日本の特定世代や実の伴わない新興国を観れば明らかなように質と量は比例しない。
寧ろ悪貨は良貨を駆逐する様相を呈し、ビジョンを欠いた人口増加の弊害(コスト)が顕著になっている。

人間は往々にして過ごした時代の価値観から逃れられない者が大多数を占めるが、著者は年齢を超越した感性と見識を持つ。
若い世代にとっては珍しくもない世界で認知されている日本のコンテンツをこの年齢で認識し高く評価している人物も著者位であろう。
既存の経済学では意味を成さない文化・美意識を内包した「ものづくり」に理解が深い事も然り。

「今」を不動のものと捉え「消費」と「納税」に特化した意味での危機を唱える昨今の人口論は国家として本末転倒に陥っていないか、
発信元は何処かを考える提起の書として面白い。
日本への愛を語った本 ★★★☆☆
 予想より1年早く日本の人口が減少しはじめました。

 慌てることはない。日本列島は、過去に3回も人口減少期を迎え、その度に文明や文化を発展させてきたのだ、と著者はいいます。
 1回目は縄文時代末期の低温化による人口減少。おかげで縄文文化は終焉を迎えましたが、代わって弥生文化がやってきました。平安時代には耕作地が頭打ちになって2回目の人口減少期になりましたが、10世紀のこの時期に国風(藤原)文化が成立しました。3回目は室町時代。戦乱の影響で人口が減りましたが、商品経済や金融業が飛躍的な発展を遂げ、それを背景に、現代に通じる日本の伝統文化や芸術がこの時代に作られている、とのこと。
 著者は、新しい文化が生まれるメカニズムを、次のように分析しています。
    生産性の落ちた土地や仕事を捨てる
  ⇒ 結果として、生産性の高い土地や、生産性の高い職業が残る
  ⇒ 一人あたりのGDPが確実に高くなる
  ⇒ 生活に余裕が生まれ、ふたたび非生産的な仕事をする人を抱えられる
  ⇒ 非生産的なことに心血を注ぐ学者や芸術家が現れる

 だから、4回目も心配しなくても良い。という論法なのですが、そうかなぁ。やっぱり心配だなぁ。復興して新しい文化が成立するまで、待ってられないなぁ。

 著者は、この後、現代社会に対する持論を展開するのですが、その内容が「人口減少を心配するな!」に負けず劣らずユニークな内容で、もうトンデモ本というか荒唐無稽というか、すごい内容になっています。なにしろ、「日本が弱気や卑屈さを脱するために、一番簡単な方法は、原子爆弾を持つことである」とまで断言しているのですから。
 著者のこの独特な言説の中心には、日本の古き良き文化への愛と郷愁があるのではないか、と私は感じました。

 少子化問題を考える、というよりは、日本への愛を語った本でした。
富・国力の源泉としての「質」 ★★★☆☆
本書は、人口減少によって日本の国力が衰退するという、昨今散見される主張の虚妄性について、従来の経済学的発想では把握することのできない、日本社会・経済の潜在性と実力について論じたものである。

従来の「人口増加」を前提とする、一部の時代でしか通用しない経済の把握の仕方に対して、歴史的に見て人口減少期は文化水準が向上した時代であることや、日本における「文化の商品化」に見られるような、「質の経済」の実態を指摘することで、人口減少によって危機が到来しているとする主張に反論している。

こうした内容の主張、特に、必ずしも広く認識されていない日本の潜在的国力については、確かに大いに正鵠を得ていると思われる。すなわち、人口という「量」ではなく、生み出すものの「質」(これは人口量と正比例しない)こそが、富の源泉ということであり、これは当然ながら、「量」を前提とする人口増加経済の発想では到底とらえることはできない。しかし、このことは、著者が他のところ(例えば『「質の経済」が始まった』PHP研究所、二〇〇五年)でも指摘していることであり、さして新規性があるわけではない。

さらに、これは「人口減少危機論」に対する間接的な回答であり、「人口減少」そのものが「プラス」であることを直接に説明したことにはならない。この意味では、「人口減少」という現象を、緻密に解明した松谷明彦の研究(『人口減少社会の設計』など)の先駆性と重要性が改めて明らかになっているといえる。ただ、松谷も、人口減少社会は「質の経済」を前提とすることを指摘している。

いずれにせよ、本書からも、人口減少社会における富の源泉は高度な「質」であり、そしてそれを生み出す「高度人材」こそが重要であり、それを伴わない、例えば団塊の世代のような「低度人材」が、多数存在しても何ら意味をなさない(むしろ社会的コストでしかない)ことは、明白であろう。

残念ながら、違うと思う ★★★☆☆
~いつも日下さんの本をたのしく拝見させていただいております。
本が出版されていると、かならず購入しています。

いつも驚かされることばかりです。
しかし、この本にはすこし疑問がのこります。

確かに人口が減れば、いい商品を獲得できるチャンスが増えるので、文化的なレベルが向上するという一文は納得できます。

しかし、世界的なレベルで~~考えると、中国の富裕層は増えてきています。
また、世界人口も着実に増えてきています。
日本の人口が減っていても、世界の人口増がそれを上回っています。

また、インターネットも発達していない時代、閉鎖的であった時代(ルネッサンス期)の事例を参考にしても意味がないと思われます。

それらのことから、今回の本はあまり良い本とは思えません~~。
残念ですけれど。
次の作品に期待します。~