第一巻からずっと買ってますが、ヒトゴトじゃないんですよ、まったく…。

「売れない漫画家」、「過去に売れてたけど落ちぶれた有名漫画家」、「まったく芽が出そうにない新人漫画家」、等々の日々の苦悩を辛辣にえぐるこの作品、漫画製作に携わっている人ならまず百発百中で痛すぎる作品でしょうが、普通の社会人だって、引きこもりの人だって、ハートを打ち抜かれて血を吐くような気持ちになる作品が必ずどこかにあるはずです。

特に今回は個人的に痛すぎる話があって、マジで吐きそうになりながら読みました…。

…という話を作者ご本人に伝えていただいたら、作者ご本人も「私も毎回吐きそうになりながら描いています」との事でありました。

この作品、ギャグ漫画には違いないのですが、かなりブラックですので、胃薬を用意して読むのもまた良かれと存じます。

実話も交えた濃すぎる話を、10話まとめて読める幸せ。失礼かもしれないが作者は相当ストイックな方と思う。

　この巻はますます題材が重くブラックかつ時事的で下品に（でも絵は軽快に）なっていく様子がスリリング。

　掲載雑誌のカラー頁を表紙を含めて再現した作者の持ち込み時代の苦悩を描いた（と思われる）自伝風短編「どうしてもデビューできないくん」から幕を開け、売れっ子漫画家の妻が夫の威を借りて己が虚栄心を満足させる為に迷惑な行為を繰り広げる｢漫画家の妻」、妻が売れっ子、夫が泣かず飛ばずの上にパチンコ狂いになってしまった漫画家夫婦の悲劇を今回一番の重さで描いた「パチンカス｣、人気商売である漫画家の厳しさと情けは人の為ならずの教訓をセミレギュラーとなった山本孫太郎虫先生を主人公に描いた｢墜落・前後編」、話題になったテレビ局の思いやりに欠けた取材に一石を投じつつもネタにしたしたたかな「いや、そうじゃなくて」、漫画の中の演出と現実を勘違いしたリアルめ●らを描いた｢酸欠くん」、同人作家からエロ漫画家になった青年の後戻りの効かない覚悟とリスクを描いた「矜持」、風呂にもゴミ出しにもトイレ修理にもいけない男性漫画家の豚小屋と化した職場を描いたページを触るのもイヤな｢男の園」、ハードゲイ漫画を描きながら家族にも学校の友人にもその性向を隠し続けていた少年漫画家の得た意外な幸福、本編唯一のハッピーエンド（？）｢兄貴」、ギャグ漫画軽視の世間へ苦言を呈した「A WORLD WITHOUT GAG(ギャグなき世界) ｣まで相変わらずのテンションに作者夫婦の業界内における孤立を思わず心配したくなる一冊。