冥府魔道を行く3巻目
★★★★★
漫画界の内幕をドギツク凄惨に可愛い絵で描いた絶好調の3巻目。
創作漫画サークルの爛れた人間関係、ダメ漫画サークルのぐずぐずの人間関係、映画監督志望くずれ漫画家の流転、急な富に目が眩んだ売れっ子漫画家の家族、有る意味プロ以上にプロらしい同人作家の癇に障る日常、まんが雑誌編集部を襲った恐怖の『巨匠病』、女アシ喰いの作家に下された目を背けたくなる報復、たそがれの中年漫画家が迎える緩やかで深刻な終焉、締め切り前の漫画家のもがき・苦しみ・嘔吐等汲めども尽きぬ危ないネタのオンパレード。
特に二次創作、著作権の問題に斜から切り込んだエピソード『トレース』と、突然若手漫画家の創作意欲を殺ぐ奇病を描いた『巨匠病』、ネット上で漫画家を詐称する中年ニートの描写が圧巻の『僕は漫画家(うそ)』、そして鬼畜漫画家の長男を一家の柱とせざる得なくなるどこか日野日出志さんの『はつかねずみ』を思わせる怖い『家族』の四編が強く印象に残った。
ビームコミックはこのサイズの漫画本としては若干割高だが、この本はそれ以上の価値があります。何度も繰り返し読める傑作。