デルスウ氏は、沿海州を広く旅した経験をもち、また自然の中で生きる術を身に付けている。
足跡や焚き火の跡からまるで目で見たかのように状況を再現する能力や、観天望気の才、動物の様子から先の季節を予想することもできる。
これらはアボリジニやアメリカ原住民のような「霊的」な人種にしかできないことのようについ思ってしまうが、自然の中にひとが点在していた時代には、当然皆が持っていた力だったのだろう。
著者の自然科学に対する造詣も浅いものではないが、デルスウ氏にはかなわない。
景色が浮かぶような描写は訳者の腕に負う部分も多そう。
植物の記述など詳細にもズレがない。
これほどの本が一般に流布していないのが、不思議。←私が知らなかっただけ?
ナチュラリスト、山好き、冒険好きの方には特におすすめ。