来るべき再訳のために
★★★★★
~およそ20年振りに読み直しているが、この本自体は素晴らしい。意味や解釈ではなく強度。書物と言うよりは機械状のアジャンスマン(鎖列、組み合わせ)。表象ではなく実験、地図作成。逃避ではなく逃走。イロニ-ではなくユ-モア。カフカのみならず、書物全般の読み方を変えてしまう。それにしても、宇波+岩田の訳は犯罪的である。「すでに」を「まだ」と間違~~え、フランス語と英語の差異を無視し、全体の連関を無視している。多くの疑問や誤解、混乱を招く訳である。D=Cへの愛も知的誠実さもない。いつになるかわからないが、Dの全集に向けて再訳されるべきである。何+年経ってもこの書物の価値は変わらないだろう。池内紀さんの意見を聞きたいところだ。~