確かにこのアルバムで聴くことができるサウンドは,シンセサイザーを中心とした演奏だけではなく,ゲイリー・ニューマンのヴォーカルもまた無機質な印象を受けるものなのですが,メロディーそのものは非常にPOPでわかりやすいものなんですよね。もっとも,だからこそ大ヒットしたのでしょうが....
私が初めてこのアルバムを聴いた時に抱いた印象は『懐かしさ』です。というと奇妙に思うかも知れませんが,私が『Rplicas』のサウンドから感じたのは,古いSF映画のような『懐かしい未来の音』なのです。だからといって,私が実際にそういう映画を見たのかどうかは定かではなく,ただ単にそう感じただけのことなんですけれどね。
特に『Down In The Park』『I Nearly Married A Human』といった曲からそういう印象を受けました。
もっとも,それは単にサウンドから感じた物であり,実際は歌詞もほとんどが人間性を拒否するようなネガティヴな内容であり,懐かしさを感じるようなものじゃないんですけれどね(^^;)
しかしながら,歌詞の内容に拘らずにサウンドだけ聴けば,これはクールでポップなアルバムとして,現在でも十分に楽しめるアルバムだと思います。
発売当時,日本ではさほど話題とならなかったのですが,それは当時の日本におけるPunk&New Waveのイメージって,セックス・ピストルズ,クラッシュ,ストラングラーズ等のハード・エッジなものが主流であり,ゲイリー・ニューマンのようなクールなサウンドはあまり人気がなかったからなんでしょうね。
なお,収録曲の『Are 'Friends' Electric?』も英国本国では1位となっています。