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ボードレール 他五篇 (岩波文庫―ベンヤミンの仕事)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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選ぶならこっち ★★★★★
野村修個人訳によるベンヤミン。晶文社版著作集のいまいちな翻訳に苛ついていた世代の人間としては待望の個人訳だったことをよく覚えてます。21世紀の今日、ちくま学芸文庫版とどっちの訳が良いかと言われたら、全然ちくまの方がいいです。なぜかって言って、ちくま版は、当然野村訳を参照した上で翻訳がなされたからでしょう。いろいろ誤訳っぽいところもあり、恣意的な意訳っぽいところもあり・・。でもどっちか選べと言われたら、こっちを推薦します。ラインナップがいいからです。「複製技術時代の芸術」と「ボードレールに於ける第二帝政期のパリ」と「歴史の概念について」が一冊にまとまっているこっちを推薦します。ちくまの「ベンヤミン・コレクション」から浮かび上がってくるベンヤミン像より、野村修訳編の「ベンヤミンの仕事」二冊から浮かび上がって来るベンヤミン像の方が魅力的です。どちらか迷ったら岩波文庫版がいいです、断然。
「新しい天使」との出逢い ★★★★☆
 ベンヤミンの仕事を初めて目にしたのは、岩波文庫版「ボードレール」だった。新しいボードレール論集の一つかとページを繰り始めた瞬間。
 ぼくは瞠目した。

「フランツ・カフカ」論の冒頭、「ポチョムキン」の章。

 宰相官邸の薄暗い控えの間、奥の寝室に閉じこもったままの周期的鬱病の宰相ポチョムキン、彼から決裁を貰えず右往左往する高官達。

 この膠着的場面に現れた下っぱ役人のシュブァルキン。彼の横断的行動は、固く閉ざされた扉を抜け、奥の間から決裁を持ち帰ることに成功するが、その書類には、すべてシュバァルキンと記されていたのだ。

 幻か、嘘か、真実か。この眩暈のような物語は、ベンヤミンが言うように、カフカの作品より200年先立って駆けていくのだろう。

 ぼく!は瞬時に、歴史的寓話のように汲み上げられたカフカの世界に連れ去られてしまったのだ。
 これが「新しい天使」との最初の出逢いだった。