中学校のときの国語の先生で、とても強烈なキャラクターの先生がいました(わたしはけっこう好きだった)。この先生が口癖のように言っていたことがあります。曰く、「推理小説なんて大人のエロ本と同じだ。まったく文学的価値無し。時間と紙のムダだ!」と。まあ、中学生への「教育的指導」だったのかもしれませんが、当時から乱読派だったわたしは、この言葉にちょっと疑問を感じたのを記憶しています。なぜなら、読書は学ぶためばかりにするものではなくて、「楽しむ」あるいは「安らぐ」ためのものでもある、と思っていたからです。この考えは基本的に今でもかわらず、すべての本が「文学的」である必要はまったくない、と考えています。
本書は「文学的作品」ではありません。軽いエッセーです。しかし、わたしはとても楽しく読みましたし、それで十分と思っています。そうそう、たとえばビールは栄養学的にはたいしたことありませんが、それで即、無価値ということにはならないでしょう?
わたしは著者のファンなので、星5つつけたいところですが、わたしの好きな彼女独特の「毒」が本書ではちょっとマイルドなので、好みの点で星4つ。