単なる提灯エッセイではない
★★★☆☆
かのアーネスト・ヘミングウェイの作品中に出てくる様々な「お酒」についてのエッセイ。
「ヘミングウェイ」と「酒」。取り上げられえているテーマや、文章の長さ、独特なイラストから航空会社の機内誌にでも掲載されていたのかと思いきやポンツーンという「文芸系のPR誌」(なんやそれ?)に連載されていたらしい。
40のチャプターそれぞれの酒について、作中の取り上げ方からヘミングウェイのその酒への思い入れや距離のとり方を推し量るとともに、著者のテイスティングもちょっぴり顔を出す。
毎晩寝る前に布団の中1-2章ずつ読んだのだが、「あぁ、寝酒に一杯ひっかけてぇ・・・」という気にさせられることもしばしば。
読み進めていくと、ヘミングウェイの各作品について、ヘミングウェイ自身の作風について、なにやらわかった気にさせられてしまう。
ヘミングウェイの作品や評伝を読んでいると、時として彼の言動について「なんともまぁ、いい気なもんだなぁ」(マッチョだったり成り金だったり白人優越的だったり)的な感慨を持つことがあるが、そうした「いい気なもんだ」度合いまで、ソコハカとなく浮き彫りにしてくれるところは、単なる提灯エッセイではない。
しかしまぁ、こうやって自作をネタにエッセイ書いてもらって、ヘミングウェイっちゅうのは(その最期は自殺だったけど)よくよくシアワセな作家だなぁ・・・。