ペール・ブルーの映像美
★★★★☆
ペール・ブルー(蒼白)の映像に彩られたフィルム・ノワールの秀作。
A・ドロンは、非情で冷徹な警察署長。
彼が所轄する街に日常茶飯事のように映し出されるのは、銀行強盗、売春婦殺人、男娼による盗み、覚せい剤取引、街で体を売るゲイボーイの密告屋。
常連のナイトクラブで、A・ドロンがくわえ煙草で粋にピアノを奏でる。このシーンに登場するカトリーヌ・ドヌーブが圧倒的に美しい。クール・ビューティーそのもの。
彼女は残酷なまでに美しく、危険な香りがする。
ドロンもドヌーブも、画面に出てきただけで、その美しさで見ているものをうっとりとさせる。これぞ映画の醍醐味、映画スターの魅力。
フランスが誇った美男美女には、香りがある。
リスボンへ向かう特急での強奪シーンは、CGが無い時代のアクションシーン。
こういう「間」を楽しむのも、映画を見る楽しみ。
ラストも、ドロンの冷徹さが胸に響く。
かえって、犯人の方が情がある、という所が皮肉。
音楽も映像もスタイリッシュな作品。