今年度ベストSF?
★★★★★
ヒューゴー賞、ローカス賞受賞作。
2030年代の近未来世界を描く。その世界では、今よりもネットワーク化が進み、ユビキタス・コンピューティングが実現している。コンピュータも身に付けるものになっており、ありうべき未来の姿だ。
そんな世界で、図書館にある紙の本のデジタル化というイベントに絡み、国際的な謀略が行われようとしている。そこに巻き込まれた主人公たちの活躍が描かれている。
しかし、面白いな、こういう近未来SF。宇宙人とか出てこないのがいい。
ネットワーク化、デジタル化が進むこの社会に対する批判みたいなメッセージも感じるが、基本的に著者は善意の人。技術が発展しても、それを悪用する人もいれば、それをよりよい世界を築くために使う人もいる。テクノロジー賛美というわけはないが、単なるテクノロジー批判でもない。とても理性的な人なんだろう。
もっと読みたい作家だけど、かなりの寡作。この小説も、最後までいっても解き明かされない謎もあり、是非続編が読みたい。
あぁ、面白かった。