月島を舞台にした『ぼくと、ぼくらの夏』。装丁も素敵な「絵」です。
★★★☆☆
月島界隈を舞台に展開する『ぼくと、ぼくらの夏』。
私自身、築地に出かけたときは、足を伸ばして
もんじゃを食べに行ったりするので、
本で描かれる町の情緒を堪能しました。
真夏になって「蝉」の声がうるさく鳴く頃
になると思い出す『ぼくと、ぼくらの夏』。
サントリーミステリー大賞作品。
出会ったのは20年前ぐらいでしょうか、。
大好きな「本」です。
私自身 大学時代に、府中 大国魂神社のそば
の「主人公の住んでいる屋敷」から5分ほど
の「アパート」に下宿していました。
そしてミステリーは、深大寺やら、吉祥寺を舞台に
展開。樋口さんは、とても町を活写されるのが
うまく、町の住人にとっては感涙ものなのです。
きっと、月島界隈に住んでいらっしゃる方も、
この小説、そして装丁に「うなずかれる」所の
描写が多いと思います。
さて、ミステリーの展開ですが『ぼくと、ぼくらの夏』を
下敷きにしておりますが、意外な展開が
待ち受けており、一日で楽しんで読みました。
ただ、主人公の成長譚としては、前作『ぼくと、ぼくら
の夏』の青春期の女性に対するもどかしさ、ユーモラスな
ところは本作品から感じることが薄く、幽霊役「真夏さん」
の存在も 正直 中途半端で首をかしげてしまいました。