吉川英治の出世作
★★★★★
この作品が発表された時、もし直木賞があったなら、この作は確実に直木賞受賞作になっていただろう。文章のリズムがよい。司馬遼太郎氏が、この作品は声に出して読みたい作品だと評しておられる。
私事だが、私は徳島在住なのでこの作品が気になった。見事に阿波の武士がばったばたと法月弦之丞に斬られるというもので、冷静に考えると阿波の人間としては不愉快なはずの作品である。しかし、阿波徳島を小説の上で紹介してくれているし、物語の進行状況も読者を飽きさせない。「宮本武蔵」や「三国志」を読んだ人にはまずこの書を推薦する。
ちなみに昔NHKでやっていた時代劇ドラマの「鳴門秘帖」は出来栄えは酷かった。徳島を、吉川英治先生を馬鹿にするな。