いかに仕事を早く楽しく行うか
★★★★★
トリンプの元社長が書いた仕事術に関する本。
特にこの本では、仕事のスピードを早めるという事と、
どのように仕事を楽しく行っていくのかということが
メインに書かれていたように感じます。
個人的に印象に残った事を挙げると、
・課題は穴をあけて押し潰す
そのまま押し潰すのは難しい。
けれども、穴をあけておくことで、簡単に押し潰せるようになる。
・「いつでもできる」=「いまはやらない」
しなければならないことがいつでもできる事であるならば、
それは今やるべき事である。
時間が経つことによって、やるべき事は複雑化して、
そうなると、与えられた時は楽しかった事も、
だんだんと面白くなくなる。
鉄は熱いうちに打て、ということ。
・「撤退」のルールを決めること
本の中では出店に関する事でこれが書かれていたが、
個人の仕事や生活でもこれは重要な事のように思う。
普段の生活の中では見落としがちな部分だと感じる。
・大黒柱には車をつけろ
元々はイオングループの岡田家の言葉。
大黒柱は本来動いてはいけないものだけど、
大黒柱を過去の経験と捉えた時に
そういう既成概念にとらわれずに柔軟に考えろ、ということ。
・問題の9割までは事前に手を打てる
問題の原因を突き詰めると、
やるべき事をやっていないと言うことが多い。
人の手によって起きる問題の9割は、
実は事前に対処ができる。
・結論から話さない社員は役に立たない
結論から話せない話し方をしてると感じるので、ここは注目。
「まずは川に飛び込め」ということが著者の持論ですが、
その意味がよくわかる内容でした。
また、本書では「デッドライン」と言う言葉が多用されてて、
結構気になったので、この著者の「デッドライン仕事術」も
読もうと思います。
先延ばし症候群に打ち勝つきっかけに
★★★★☆
読み終わった後、明日から2分以内で決断してみようという気持ちになります。
著者の吉越さんは2分以内で決断しないことを批判するわけでもなく、
「2分以内で決断した方がこんなに良いことがあるよ」ということを
本書を通して教えてくれます。
全てのアクションを即断する必要はなく、「気分的にしないだけで結論を先送り
にしても意味がない案件」に対して適用するだけで大きな効果があると思います。
私はGTD(Get things done)システムで仕事を分解しているので、
この2分で決断するアクションでさらに効率がアップしました。
※GTDは「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」参照
読めば必ず仕事の効率をアップさせるための学びがある一冊です。
トリンプ社長の経営エッセンス-この信念はどこから来るのか?
★★★★★
吉越氏の著作はたくさん出ていて、最近では社長を退かれた
後の「本生」(吉越氏による、ほんなまな生き方)な視点から、人生、仕事、
経営などを語られる本が多い。
その中でも、本書は、トリンプインターナショナル社長であった(ある?)とき
の、組織改革、仕事改革、社風改革を、具体的にどのようにやったか、という
エッセンスに焦点があたっていて、「何をやったのか、やらせたのか」「なぜ
そうしたのか、させたのか」が明快でとってもわかりやすい。爽快ですらあります。
たぶん、この後に「デッドライン仕事術」などが刊行されたのではないでしょうか。
そういう意味では、トリンプ改革のエッセンスが無駄な装飾なくストレートに
メッセージアウトされていて、吉越氏の改革原点であるような感じがします。
キモは、タイトルどおり、「2分以内」に決断する、迷っている暇はない
スピード重視の仕事術、組織術、経営術。吉越氏独自の「仕事の成果」という目的
に焦点をあてて、組織も、仕事のやり方も、人間関係も、残業禁止も、禁煙も
早朝会議もすべてが並んでいる、というイメージ。これが、本書では大変よくわかる。
実際に「やらされた?」社員の方々は、どう思ったか、感じたのか、も気に
はなりますが、しかし、経営者として、競争に勝ち、売り上げを伸ばし、利益を確保
する、という、ステークホルダーへのレスポンシビリティを達成するためには、
著者もいうように「(仕事という)ゲーム」に勝つために、「軍隊」という
最高に効率化された組織と遂行能力を最大限に活かすのは、経営者として当たり前。
しかも、吉越氏によれば、「下にやらせる」のではなく、社長も平社員も、
それぞれの役割を徹底的に最大化、最高効率化をする、となる。担ぎ上げられた
経営者とは一線を画すその思想。
でも、吉越氏もたぶん、初めから成功を確信してさまざまな改革に挑んだわけでは
ないはず。きっと、苦闘しながら、成功するまでやめない式で、自らにデッドライン
を課して運営に挑戦したはず。そういう苦労を苦労として書かないで、元気がでる、
弱気に負けない、そんな改革を前面に書き綴った本書は、読者も元気をもらえます。
なお、目次や見出しがわかりやすい体裁で、目次を見ているだけでも、仕事に
対する「吉越流」が一目瞭然で、大変気に入っています。
がんばるタイムのススメ
★★★★★
ぼくはめったなことでは残業しません。
勤務時間内ですべて処理しよう、と決意しているからです。
あらかじめ予定に入っている仕事は、時間内にこなします。
もちろん、急かつ重要な案件が入った場合は、喜んで残業します。
たとえば明日の朝までにやる必要のある仕事が、今日の夕方に入ったとかね
でもそんなことはめったにありませんよ。
なので、まー9割の日は定時には退勤です。
時間内で処理するためにやっていることは二つ。
1.始業時からフルスロットル
2.一心不乱に作業
よく始業時刻になってから、お茶なんか飲んでるおじさんっていますよね。
中には新聞読んでるおじさんもたまにいる。
始業時刻になってから、自分の頭と心のエンジンキーを回すんでしょう。
それだとなかなかフルスロットルにはなりませんよ。
仕事にノッテくるのは10時か11時になっちゃいます。
ノッテきたなと思ったら、もう昼休みです。
これでは午前中の生産効率はたいして上がりません。
ぼくは始業時からフルスロットルに入れるように、朝の時間を大切にしています。
まず早起き。
早起きしてコーヒーを入れ、ゆっくり飲む。
前日のメールチェックして、返信する。
頭が働いてきたところで「ゴミメール」を書く。
これで脳の準備運動完了です。
そして出勤。
通勤も自転車だったり歩きだったり、なるべく体を動かす方法を採用しています。
出張中でも朝一定以上歩くようにしている。
それによって体も目覚めます。
また、歩いている間に今日やる仕事の段取りを考えます。
思いついたことがあったら、立ち止まって手帳にメモします。
歩いて体が目覚めてくると、頭の働きも活溌になって、アイデアも浮かんできます。
こうして始業時間を迎えれば、フルスロットル状態に即入れるってわけです。
さらに、一心不乱に作業します。
仕事は大きく、
・打ち合わせ
・作業
に分けられます。
事務職の人はどうも「作業」を軽視しているようにぼくは思っています。
打ち合わせばかり重要視している。
なので、手帳にも打ち合わせの予定は記入しても、作業予定は書いていない。
しっかりとした作業をしていないから、打ち合わせも実り多いものにならないんです。
打ち合わせたことをしっかり作業する、作業結果を基にまた打ち合わせをする、そしてさらに作業する、という循環ができていない。
だから無駄な仕事が多くなって、時間ばかり浪費するんです。
ぼくは作業時間をしっかりと確保するように、作業のスケジュールも手帳に記入します。
作業の時間は他の用件を絶対に入れません。
その時間は作業に集中するためです。
いったん作業に集中したら、突然の来客者が来ても一段落するまで待ってもらいます。
たとえ相手が部長だろうと社長だろうと待ってもらいます。
当然、同僚から話しかけられても答えません。無視です。まあ「後でお願いね」と言いますけど。
上司から呼ばれても「今ノッテるので、後ほど」と言います。嫌な奴だね。。。
吉越浩一郎『2分以内で仕事は決断しなさい』かんき出版¥1400-を読んだら、こう書いてありました。
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トリンプでは、午後12時半から2時半までの2時間を「がんばるタイム」と名づけて、社員が集中して仕事ができる時間を作っています。
この間は、私語は一切禁止です。電話するのもダメ、オフィス内を歩き回るのも厳禁。
「がんばるタイム」中は、自分の机に張り付いて仕事しなさい、というわけです。(77p)
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いいですねー。
全社あげて、作業時間を決めちゃっているんです。
社外にも公言しておけば、この時間帯の急な来客も防げますね。
社員は安心して集中した作業をすることができるって仕組みです。
この仕組みもあって、女性の下着メーカーであるトリンプは、ほぼ残業ゼロを達成したそうです。
残業なしで経営がなりたつのかどうか、というと、むしろ業績が上がっている。
きちんと定時に帰れ、家族との団らんの時間を確保し、睡眠時間も十分取れる。
だから、精神的にも肉体的にも健康を維持しやすい。
欠勤者がほとんどゼロ。
何より女性が活躍するようになったそうです。
下着メーカーですから、女性の活用は必須。
でも残業が多いと、子育てや家事との両立が難しくなり、辞めていく女性が多くなるわけです。
残業がなければ、十分子育てや家事と両立ができますから、せっかく育てた女性社員が辞めてしまうことがなくなった。
社員の教育費ってバカになりませんからね。
そして辞めた後の補充にかかるコストも結構なものなんです。
こうしてトリンプは、労働時間を増やすことなく実績を上げ続けているんだそうです。
がんばるタイム、ぼくの周りにも広めていきたいって思っています。
結果を残した再建社長
★★★★☆
創業して一代で会社を盛り立てていく方と別会社からのスカウトで会社再建を目的とする方といらっしゃいますが、吉越さんは後者のようですね、
処女作にはその人の9割方のスタイルが出るというはなしをきいたことがありますが、だとすれば本書のスタイルが著者の生き様でもあるのでしょう、結論ありきで端的にわかりやすく解説されております、特に強調されているのがスピードというコトバ、IT系の方はとにかくスピードと強調されますが著者がまったく同じところを強調されていることに妙に新鮮感を感じました(そんなこと考えてるようでは自分はまだまだですね、苦笑)。
撤退のルールがわかっているからこそおもいっきり展開できるには納得、そうなんですよね・・最終デッドラインがわかってて進んでいく方がためらいなく打ち手を打っていけますから。
あとこれはと感じたのが仕事をゲーム感覚でやっているかというくだり、たしかに矛盾するようですが結果を出している方ってシビアな面と同時になんとなく遊び心ももってらっしゃるんですよね・・最近気が付いたことのひとつでもあります。
最後に、アメとムチの関係で言いますと本書はムチ的に書かれておりハッパをかけられる感じで、後の赤い本の方がどちらかというとやんわり口調で語られているような気がしますので初見の方の参考までに。