インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

獣人 ゾラセレクション(6)

価格: ¥4,104
カテゴリ: 単行本
ブランド: 藤原書店
Amazon.co.jpで確認
桐野夏生が好きな人ならきっと楽しめる ★★★★★
悪の心理、人間の奥底をゾクゾクするような筆で見据えた小説が好きな人なら、最後まで一気に読んでしまう面白さです。
最初の数ページ、鉄道駅の描写が退屈だ、などと思っていたら、急転直下するストーリィに驚いているうちに、黙示録的なラストの場面まで、切迫したドラマに満ちています。
濃すぎる男女の登場人物は、やがてこの世のものとも思えない地獄絵図を現実のものにしてしまいます・・・

蒸気機関車の黒々とした、文明の利器となり凶器ともなる鉄の巨体を女性にたとえ、苛酷な労働で、それを自在にあやつる理性的な機関士の男を主人公に据えた。しかしその男こそ、「居酒屋」ジェルヴェーズの長男であり、優しく頼れる恋人の顔の裏に、危険な素顔を隠しているのだ。

鉄道の隠喩を徹底してうまく使ったという意味で、ディケンズの「信号手」にも比肩しうる。もっと読まれてもよい、非常に重層的で、かつ情動に訴えかける小説だ。

アマゾネスのような女、フロールの嫉妬、心理の襞も、作者ゾラは女性の心理を知り尽くしたかのように、巧みにとらえている。

一人の美しく優しい女をめぐって、ルーボー、ランチエ、カビッシュの3人の男が、裁判で相見える場面で、「真実がよぎった瞬間、憂愁が空間を満たした」場面は、ずっと忘れられないと思います。
ゾラ・セレクション ★★★★★
150年近く前に、これだけ面白い小説があったということに本当に驚きます。19世紀は小説という芸術ジャンルの黄金時代であった云うことがうなずけます。そんな難しい評論を振り回さなくとも、読み進むのが楽しい、読書の醍醐味が味わえる本です。ゾラ自体がもっと評価されて良い作家ですし、この本は、やや高価ですが、古い岩波文庫の翻訳しかない現状を少しで改善してくれるのではないでしょうか。真に面白い「本」です。