インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

<戦前>の思考 (講談社学術文庫)

価格: ¥945
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
21世紀の初めの10年を予見した本 ★★★★★
 柄谷の本を読むのは これが初めてである。

 本書は著者が1990−1993年に行った講演、インタビュー、論文を集めたものだ。約20年後の2010年に読むと 著者の予見性が良く分かる。

 一点目。著者はソ連亡きあとに 西洋諸国がイスラムという敵を見出したと述べている。これは湾岸戦争を踏まえた見解だが 湾岸戦争の段階では イスラムというものが全面に出ていた記憶は少ない。2001年の9.11という事態があって初めて イスラムというものが大きく語られ始めたと考える。その意味では 著者は 9.11を予見していたと考えるべきだ。

 二点目。著者は 資本主義の暴走と その結果の社会民主主義の勃興を語っている。これはまさに2008年のリーマンショックと その後の世界の対応そのものだ。著者が書いた1990年代前半は まだ 小泉内閣の新自由主義すら想像されえない段階であったことを考えると この予見性の鋭さには驚くしかない。

 しかし こう書いていると 改めて 21世紀初頭の10年間は 9.11とリーマンショックという二つの大きな事件に象徴されたと感じる。その二つを 10年前の まさしく「戦前」に 予見している本書は 今なお 読んでいて刺激的だ。
批評の文体 ★★★★☆
 柄谷行人の本はいつも最後まで読めない。途中で勝手に思考が働きだして、律儀に文章を追うのがまどろしくなる。それほど刺激的であるということだ。ずいぶん以前、無理をして一気に最後まで読み切り、頭がぐちゃぐちゃになったことがある(『近代日本文学の起源』)。細部の刺激がなぜか全体を構想させない、というか独特の屈折と反語と否定に満ちていて、猛スピードで運動し続ける精神についていけなくなる。

 本書は講演録なので比較的楽だったが、小旅行の車中で一気に読み、やはり頭がぐちゃぐちゃになった。(もしかすると柄谷は分裂病者なのかもしれない。常に言葉を秩序づけて排出し続けないと、失語症か誇大妄想に陥ってしまう危機を内部に抱いているのかもしれない。)細部は異常なまでに明解なのに、細部と細部が有機的に全体を構成しない。微分はあっても積分がない。それが批評ということか。

「自主的憲法について」について ★★★★☆
 「憲法第九条において、現実に憲法に違反することを憲法に従うことのように言いくるめることから、法体系そのものが「決定不能」状態に陥る。」ここを柄谷タームのご愛嬌と読んだ読者は、第九条の改憲が公教育のタテマエ(当然たいていの教師がそれだけでやってるところのもの)がほとんど根本からなし崩しにされてしまうだろうということがわかっているのだろうか?。
「うちの子は私立に行かせるから。」
 良い環境で、良く遊び、良く学び、国をしょってたつような立派な人間に育ってほしいものですねえ。お父様方?、お母様方?