新しいスタンダード
★★★★★
ひとりの歴史家が一つの時代を描くというイギリス流の伝統に則った20世紀の通史。表現には抑制が効いているが、ウィットとユーモアが散りばめられ、作者の個性が光っている。クラークはJ.A.ホブスンらの知識人に光をあてたLibeals and Social Democrats、その後のケインズ革命の形成を綴った『ケインズ革命の形成』を著しており、まさに20世紀のイギリス史を書くにふさわしい第一人者である。今なお光を放つA.J.P.テイラーの『イギリス現代史』、『トラブルメーカーズ』もあわせて読みたいところ。初版にはなかった1章が付け加えられているのがうれしい。