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完全解読 カント『純粋理性批判』 (講談社選書メチエ)

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 講談社
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「何を知りうるか」「何をなすべきか」「何を望みうるか」2年がかりで知ってみよう ★★★★★
著者は、哲学書の原典を、日本語訳で読むとしても、3年から5年の訓練が必要だとする。
私は哲学の解説書を濫読しているが、師がいるわけでもなく、
もちろん系統的な読み方であるわけでもなく1週間の訓練をしたくらいのレベルであろう。
『純粋理性批判』の訳書では挫折している。
著者は、この本なら数日で理解できるだろうという。で、読んでみた。

「現在の社会は、人間に広範な自由を与えたが、同時に人間の生活の一切を、
 欲望競争の不合理な渦の中に巻き込んでいる。マルクスやポストモダン思想はこれに対抗しようとしたが
 いまや限界である」だからこそカントなのだそうである。と、ここまではわかった。

で、カントはどうすればいいと言っているのか。
大事なのは感性〈直観力〉悟性(判断力)理性(推論する力)なのだそうである。
で、これらをどう利用するべきなのか。
ここからが本論なのだが、これを理解するには2年くらいかかりそうである。
皆さん、ぜひ本書に挑戦してみてください。
『純粋理性批判』の隅から隅までをふつうの人間の言葉で読める ★★★★★
なによりも、章末解説ときちんとマークされた著者の断り書きの部分を除き、とことんカントの「解読」というか、わかりやすい普通語への翻訳に徹しているところがいい。哲学を一部の学者や物好きの専有物ではなく、できるだけ多くの人に開かれたものにしたいという著者の情熱が伝わってくる。

でもそれだけではない。その章末解説や「はじめに」や「あとがき」を読むと、カントという哲学者の思想的、思想史的意義が明らかになる、という仕掛けになっている。カントはこんな込み入った仕方で何を言いたかったのか、どういう背景があってこれを書いたのか、その深いところでの動機が簡潔ではあるが明確に描かれている。

そこの部分を読むと、カントは死んだ哲学者ではなく、近現代に生きるわれわれにとっていまなお切実な問題を提示してきたし、今も提示していることがわかる。
とりわけアンチノミーの個所は圧巻。カントの原著を読むと、たいていの人はカントがどうしてこんなことを言っているのか見当がつかないと思う。私もそうだった。世界の果てがどうしたって? 物体は分割できるかできないかなんてどうだっていいじゃん。自由? 現代人には基本的人権として自由が保証されているから、わざわざ証明してくれなくても。それに証明の仕方もなんか変だし。ここを読んだ同時代人の8割がたはそう思うはずだ。
ところが本書を読むと、アンチノミーは現代の私たちの問題にしっかりつながっていることがわかる。カントのこうした考え方を経て、わたしたちは自由(思想信条の自由を含めて)を手に入れたのだということも。

哲学界のセレブ・ナンバーワン、カントに関するかぎり、入門、復習、研究などどんな目的にも役立つ必携書だと思う。
道徳と幸福のアンチノミー ★★★★★
物事は、客観的に確かめられなければならないとか、科学的に証明されなければならないという言説には、どこか抑圧的なものが感じられる。その客観性や科学性というのは、いったい誰が保証するのかと反発したくなる。カントの『純粋理性批判』の完全解読という体裁をとったこの本は、私たちの誰もが抱くこの反発に、根拠があることを教えてくれる。カントは、客観性や科学性を保証するものはどこにもないということから、哲学をはじめた。客観的基準や科学的証明ということに依拠しようとするのは、物事を明らかにしたいからではなく、絶対の正しさを身に付けたいからではないか。そう考えたカントは、外部の最上位の場所から人々を威圧するのではなく、私たちが経験する仕方で物事をとらえていくこと。そのことによって、どのように客観的な認識が成り立っていくのかを明らかにしようとした。感性―悟性―理性という認識の仕方を、丁寧に解読してみせるくだりは、本書の白眉である。私たちは、物事を直接的に経験するとともに、それがどういうことかをまとめ上げ、最終的にはその全体像をさまざまな関係のなかに構成することができる。そこには、直接経験だけでなく、この経験を、時間―空間、カテゴリー、図式、公準というものを通して、一般的なものとしていこうとする意欲がかかわっている。ところで、この意欲のもとには、物事の完全な把握についての、独特の信憑がある。それをカントは、物自体と名づけた。われわれの認識によっては、決してとらえることのできない物そのもののありかた、その神のような絶対の視点からとらえられた物こそが、たとえ、そこに至り着くことは不可能であっても、物事の完全な把握への意欲をかきたてる。絶対の正しさを身に付けるために、外部の最上位の場所から把握された動かしがたい客観性というものが、われわれの意欲を萎えさせるのとは違って。一方で、感性から悟性を経て、最終的には、理性によって物事の全体をとらえようとするとき、物自体は、この理性のはたらきを二律背反に陥らせるようなものとしてあらわれる。これをカントは、純粋理性のアンチノミーと名づけた。この純粋理性のアンチノミーについての解読は、本書の中でも、ことのほか刺激的だ。それは、完全な認識は不可能であるということに由来するのだが、物事の認識にとどまらない、この世界のありかたにまでおよんでいく。いわく、世界には、はじまりと終わりがあると同時に、はじまりも終わりもない。世界は、分割可能な部分から成ると同時に、どのようにも分割できず、単純な部分によっては合成できない。また、世界における物事は、自由という要因によって存在していると同時に、いかなる自由もゆるさない必然の法則にしたがっている。これらの二律背反は、認識を挫折させるものにみえるのだが、決してそうではない。むしろ、純粋理性は、これらをみずからの根拠とすることによって、物事の統整的な把握をおこなおうとする。世界はアンチノミーとしてあるからこそ、首尾一貫した完全な把握への要請がなされるのであり、あるべき全体像への探究が求められるのである。ここから純粋理性のアンチノミーが、理想理念へと向かうくだりについての解読は、本書がカントの思想をいかに核心からつかんでいるかの例証というべきである。 以下、かいつまんで述べてみよう。物事を完璧に把握しようとする純粋理性は、さまざまなアンチノミーに逢着しながら、世界にかかわっていく。そこにあらわれるのが、実践理性にほかならない。この実践理性は、まず、世界の完全な把握をおこなうためには何をなすべきかを問いかける。答えを言えば、我々の幸福にかなうような最も善きことを求めること、これである。ここから明らかになるのは、実践理性に要請された最高善への希求、これこそが、世界の完全な把握の根拠だったということである。著者は、このことを「『善く生きたい』というわれわれの生への意欲こそ、世界とは何であるかという認識の問いを支えていたのである」という言葉で述べる。一方において、この実践理性への要請もまた、純粋理性と同様のアンチノミーに見舞われざるをえない。著者は、そのことについての指摘も忘れなていない。すなわち、より善く生きる者が、必ずしも幸福にあずかるとはかぎらず、むしろ、善への関心などことさらに抱かない者に、この世の栄誉が与えられるといういうのがそれである。このような道徳と幸福の二律背反は、しかし、実践理性を挫折させるのではなく、最も善きことへと促す根拠となる。そこで、実践理性のアンチノミーは、以下のような命題として表明されるのである。最も善きものが存在しなければ、われわれの道徳的期行為には何の意味もない。同時に、われわれが道徳的行為を行うことに価値があるとするならば、われわれは、この最高善の理念をどこかで信じている。このようにして、道徳と幸福のアンチノミーに出会いながら、それでもより善く生きようとするとき、そこにかきたてられる意欲こそが、世界の完全な把握へのみちすじを浮かび上がらせる。のみならず、それは、人々を威圧するような絶対の客観性とは異なった、人と人とがどこからでもつながっていける普遍的了解の通路を拓いていく。著者のなかに生きつづけるイデア(理想理念)への思いが、カント思想の核心を捉えてみせたすぐれた解読書ということができる。
スラスラと読める。大変読みやすい。 ★★★★★
初心者でもすごく簡単に読めるので不信を抱かずに読んでほしい。
しかし本に対しウンチクなど先入観の強い人は向いてないかも、、。

単純に自分の先入観を取っ払って素直に見れば簡単。

私は今まで様々なカント翻訳したのを読んだが、こんなにわかりやすいのはそうはない気がする。

初心者向け。
けっきょくほかの訳書か解説書に当たることが必要。 ★★☆☆☆
著者は前書きで、本書をカント理解のための「便利なツール」として使ってほしいと述べています。実際、あの長い本を400頁一冊に縮約したのは親切だと思いますし、索引も懇切丁寧です。

ただ、読みづらいことに変わりはないように思えました。まず、これまでのどういう論争に解決を与えようとしてカントが批判書を書いたのか、史的背景がわからないのです(ニュートンも出てこない!)。それに本文も理解容易とは言えない部分が多いように感じます。本書は、著者のすすめる第二の使い方、つまり副読本としてならありかもしれませんが、本書単独では読めないと思いました。今は索引で興味のある語を選んでその頁周辺を虫食い読みしています。

ということで、光文社古典新訳文庫から刊行中の中山元翻訳・解説の『純粋理性批判』を先に読むほうがよいように思います。平易な訳と長文の解説が特徴です。(全7巻予定だそうですが、第1、2巻を読むだけでもカントの面白さが伝わってきました。)

なお、ある友人は『プロレゴメナ』(岩波文庫)を薦めていましたが、私には読みづらく、これまた読み終わっていません。以上、哲学入門書ばかり読んできた竹田ファンの感想です。