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ハリス・バーディックの謎 (The Best 村上春樹の翻訳絵本集)

価格: ¥1,580
カテゴリ: 大型本
ブランド: 河出書房新社
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答えの無い モノクロ ★★★★★
 クリス・ヴァン・オールズバーグの絵本の中でも 1番好きなのが この作品である。

 14枚の絵が 脈略も無く 並んでいるだけだ。各々に短い一文がついている。しかし 何の説明にもなっていない。

 陳腐な言い方をすると 一種のロールシャッハテストなのかもしれない。絵の解釈は 読み手である僕らに 完全に任されている。巻末に答えがついているわけでもない。

 僕らは 時として 答えが無いことに 漠然とした不安を持つことがある。自分がいくら想像力をかきたてて 何かを これらの絵から「取り出した」にせよ それが「正解」なのかどうかがわからないと 落ち着かなくなる。
 但し そんな「正解探し病」から 卒業することも大事なのだと 僕はたまに思う。答えがないものは この世の中には いくらでもあるし 強引に「答え」を作り上げることに起因する悲喜劇は枚挙の暇がない。

 そんな僕らに 本書は 時として挑戦的である。モノクロだけで 作り上げた極彩色の絵本が 僕らに 「答えの無さに耐えろ」 と語りかけてきている。
 
投げ出されることの快感 ★★★★☆

読者に提示されるのは、
もってまわった冒頭の解説と
物語の断章だけだ。

想像力の翼を広げてみても
回答はまったく提示されない。
読者はただ不連続な謎に投げ出されるのみ。
それは高度な快感であろう。
As You Desire this ★★★★★
ファンタジーが変幻自在であることを再確認させてくれた絵本です。
クリス・ヴァン・オールズバーグ氏の美しい挿絵とミステリアスな文章が読む者の想像力を掻き立て、14編の寓話のような小話から果ては壮大なスケールのファンタジー巨編までわずか2ページで読者の頭で作り上げる手助けをしてくれます。
絵本というのは無限の可能性を秘めたファンタジーの媒体の一つなのですね。
14枚のミステリアスな絵 ★★★★☆
絵本というより画集といった感じのする一冊。オールズバーグの14枚の絵が右頁にあり、左頁にそれぞれの絵の題名と短い説明文が載っています。ストーリーが展開していくわけではありません。絵を見た読者が、題名と説明文をヒントにしてそれぞれに話を思い描いてみる趣向になっています。

カラーではなく、モノクロの14枚の絵。それぞれの絵に表現されたミステリアスな幻想性も素敵ですし、なにより白黒の絵の中の光と翳の美しさ、これが実に見ごたえがあります。モノトーンの絵の中にきらめく光の輝きは、オールズバーグ・マジックとでも名づけたいもの。絵の中に吸い込まれるように見とれてしまいました。

一枚の絵を眺めた後で、「さて、この絵がつけられた話はどんなものだったんだろう」と想像してみる愉しさがあります。通常の絵本の愉しみとはかなり違っているので、ちっとも面白くないやと思う人もいるでしょう。

でも、例えばルネ・マグリットの絵がそうであるように、ここには絵を見て色々と空想の翼を羽ばたかせてみる面白さがあります。見る人それぞれに別々の話が、世界が広がるような味わいがあります。

何度見ても飽きない絵本 ★★★★★
1ページに繊細で独特な絵とコメントが書いてあり、それだけで完結しているので、見る人の想像がストーリーになります。

最初のページにこの絵本がつくれれたなりゆきがのっていますが、ページのそれぞれが1つの物語の中の1場面の1ページだそうです。作者のハリス・バーディックは、今でも消息が分からず謎の人間であり、そんなところもこの絵本の不思議さを高めます。

絵それぞれがとても美しいので見ているだけで魅了されます。