ラテン・アーティストとして、現代のクロスオーバー・ミュージックの王冠を最初にかむったのはシャキーラだったかも知れない。けれども、メキシコのゴールデン・ガール、パウリナ・ルビオの英語デビュー作は、どんな言葉で歌われたポップ・アルバムをも上回る力作である。前作『Paulina』は大ヒットし2001年のナンバー1ラテンアルバムとなった。その前作と同じく本作には、素敵なフックにボーカルとコーラス、魅惑のリズム、あふれるエネルギーといった、素晴らしいポップアルバムになくてはならない要素が溶けあっている。癖になりそうなファーストシングル「Don't Say Goodbye」はアメリカのリスナーにとって彼女の音楽へのまたとない手引きである。また、キッスのヒット曲「I Was Made for Lovin' You」のカヴァーさえ巧みに歌いこなしている。それ以上に出色なのは、スペイン語詞を英語詞に変えた、輝くガール・パワーの賛歌である。「Not That Kind of Girl」、クラブビートが脈打つ佳曲「Sexual Lover」、それに、ランチェラ（ワルツの一種）とヒップホップの手法を混ぜあわせた画期的なサウンドで、わたしは負けないと誓う「The Last Goodbye」。本作ほどインテリジェンスや魅力に富んだボーダー・ミュージックはこれまでなかった。（Joey Guerra, Amazon.com）