ビオンはいつか読もうと思いつつ難解な気がしてこれまで手が出ませんでしたが、この本は読めました。感動の1冊に加えます。この分野が全くの初心者と自分のなかでサイコセラピストとして完成体になってしまっているベテランには少し難しく感じられるかもしれませんが、実践を数年以上経験した方ならば、読んで得るものが大きいと思います。
☆4つなのは、フロイトは「読み方」とその「使い方」しだいで、結局は同じ地平にいるような気がするからです。リビドーをどうイメージするか、精神分析用語への個々の読者の「イメージ体験」によって、ビオンとフロイトの距離は異なるように感じられるのでは? 私自身は、かなり自分流にフロイトを読んでいるので、ここに書かれてあるほど、意識無意識に関して限られたイメージはなかったので。
とにかく、セッションで起こっていることを整理して考えるための有効な道具がひとつふえました。久々に出会った面白い本です。