フラット化する世界の中で日本人は中国人・インド人達と戦っていけるのか!?
★★★☆☆
大前氏と船川氏の日本の未来への憂慮の結果生まれた作品である。
フラット化する世界が世に出て以来、自分を含め、日本人がこの先、外国人とともに闘う世界というフィールドの中で渡り歩いていけるのかということは非常に心配ではあるが、本書の中で、どういう人材が世界で求められているのか、そのために自分は今から何をするべきなのかを対話形式で説明されている。
本論とは違うが、大前氏はよくイチローを良き例として出す。大前氏が本書でも触れている「毎朝、5時半に起きて500くらいの記事をチェックし、1週間で3500の記事の中から70くらいをファイルするのが基本」というのは、イチローが毎朝自分が決めた流れに沿って1日1日を同じように過ごすことをし続けるという行動はとても似ているからだろう。
そのためには基本が大事。とるべきステップは
1自分の頭でしっかり考える
2それを相手に伝わるように明確に伝える
3次に相手の言うことを全身全霊で聞き取る
4コラボレーション・共同作業をする
どういうスタンスで仕事に取り組むべきか?
→日本では上司に対して、疑問があるということを伝えるのを躊躇しがちだが、絶対に疑問は伝えるべき。ただし、喧嘩腰にならずにそれをやる技術も必要である。日本人もユダヤ人の言うところの「devil's advocate(わざと反対の立場をとったり、反論したりする人」は絶対に必要である。
どういうスタンスで生きるべきか?
→ユニークな生き方をしようとすると、他の人と違うことを考えたり、言ったりしなくてはならない。本当に自分が正しいのか、分析して調べて自分で証明しないといけない。これは忙しい生き方で、頭も回転させないといけない。そのとたんに集団は関係なくなる。一方で集団と生きようとすると自分で考える必要がなくなる。
日本が強くなるにはどういう人間になるべきか?
→21世紀の国力は、判断をできる人間を何人持っているかで決まる。今までは情報が価値を生んだが、情報はコモディティになる。
「自分の能力に限界はない」と感じること
★★★☆☆
正直なところ、お二方の対談を読んでいると自分などとは「次元」がはるかに違うことを感じてしまうのですが、また同時に感じるのは、お二方とも決して「天才」なのではなく、長い間の習慣化された行動の積み重ねによって現在があるのだろうということです。
「戦後間もなく誕生した日本の優れた経営者たちは総じて、「自分の能力に限界はない」と感じていた」というくだりが非常に印象的でしたが、やはり強烈に自分を駆り立てるようなマインド・セットというものが、優れたリーダーのもっとも根底の部分にはあるのだろうと強く感じます。
また、「自分が死ぬ時に最後に何と言って死にたいか」という言葉も、常に自分に言い聞かせたい言葉だと思いました。「今日一日」ではなく、「人生のビジョン」を持って日々を過ごしたいものです。
次世代リーダーはニートorフリーター?
★★★★☆
戦後には松下幸之助、本田宗一郎といったグローバルに通用する極めてユニークな経営者が多数存在したが、彼らが成功したのは自分に「限界」や「尺度」といったものを設けなかったことだと大前氏は分析する。また、そのような経営者は学校を卒業していない人や、工業高校卒の低学歴者が多いとも指摘している。
確かに一般市民は「学校」や「会社」から与えられた尺度を逸脱しない行動を取り、そのことにより他者から認められることに力を注いで生活している。しかし、その一方で良くも悪くも世間的な尺度から自由であるのがニートであり、フリーターである。
現在は、戦後や明治維新に匹敵する革命的な時代だと言われているが、この混沌とした時代を牽引していくグローバルリーダーは意外にもニートやフリーターから出現するかもしれない。
せめて会社の雰囲気を読むだけのKY専門とか、社内営業専門にはならないと決めた!
★★★★★
大前研一氏と、弟子の船川淳志氏の対談集。
やや話が拡散気味だけれど、過去の大前氏の著作を振り返りながら、
真のグローバル・リーダーとは何か、そうなるために何が必要か
を教えてくれる。
そして、いかに日本のエリート層が集団思考にとらわれ、突き抜けた
アンビシャスと覚悟に欠け、ノンリニアな発想ができす、
そもそも英語もできない使えない集団なのか、と厳しく責められる。
今となってはグローバル・リーダーなんて目指すには遅すぎるが、
せめて、社内営業専門にはならず、ユニークな生き方をするのだ、と
決めました。
物足りなさが残りました。
★★☆☆☆
グローバル人材の育成に関して名高いお二人の対談だけに、
内容はそれなりに面白いですし、役立つところも多々ありました。
それでも、読後の満足度は決して高くはありませんでした。
その理由は主に以下の2点です。
・船川さんが憧れの大前さんと対談したことで舞い上がっている感があり、
いつもの船川節が少ない。
・両者とも言っていることはもっともなのだが、
過去の著作やどこかで語られていることばかり。
ついでながら、英語はニュアンスを使い分けなければならない、
と言っているにも関わらず例文の英語が間違っています(p125)。
序章で、アメリカではしかるべき出版社なら1、2年もかけて
厳しくチェックした上で出版すると述べており、
あまりにも安易に売れそうな本を出す、と日本の出版界を批判しているのに、
本書もその類になっているわけです。