母と娘の微妙な関係
★★★★★
著者は故・有吉佐和子さんの娘である。
有名作家の娘に生まれた彼女が、その特異な生い立ちから、二十歳で母の
死にあうまでの、自己形成における葛藤を書いたもの。
同性であるが故に、母に向ける娘の視線は父に向けるそれよりも、時として
シビアなものがある。
従順な娘、反抗的な娘、またそれに対する母の反応。
母と娘はともだちなのか? ライバルなのか? 馴れ合いなのか?
母娘の数だけ、その形はさまざまであると思う。
どこか醒めた目で見ながら、母を強烈に愛する筆者の想いに心を打たれる。
母娘の関係について考えたことのある女性には、ぜひお奨めしたい。
と、まじめに書いてしまったが、有吉佐和子という人は、すごい才能があり、
頭が良くて・・・でも、でも、「おかあさん」ってみんな同じなのだぁと、
爆笑・微笑・苦笑してしまう本でもあるので、念のため。