中東の対立
★★★★☆
題名はミュンヘンですが、内容は中東問題全般です。
イスラエル建国から始まり、2000年のイスラエルとパレスチナの会談までの物語です。
サラメという家庭を軸に物語は進行していきます。
ハサン・サラメとその子供、孫 の三章で構成されています。
父の時代では、誕生して間もないイスラエルと周辺諸国の対立が書かれており
世界大戦の影響(ホロコースト等)でユダヤ人がイスラエルに流れ込んでくる有様が分かる。
また、大戦終結後の大国の曖昧なイスラエルの管理体制や抗争の激化の原因を把握できる。
息子の時代は、6日間戦争(第三次中東戦争)から始まり、
イスラエルに対するテロ活動を中心に物語は進行する。
父同様、パレスチナ解放を目的にアラファトと共に活動を続ける息子であったが、
あるとき、欧米よりのヨルダン国王からの奇襲攻撃で「黒い九月」というテロ組織が誕生する。
この中でパレスチナの解放活動を逸脱し、テロリズムに向かうサラメの真情を垣間見ることできる。
同時に、イスラエルの諜報機関「モサド」によるテロ組織の暗殺活動なども詳細に書かれている。
孫の時代では、PLOの言論による解放活動など、僅かな希望が見え隠れする。