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青い山脈 (新潮文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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旧制学校の理想型が描かれた小説 ★★★★★
この作品について、21世紀生まれの人々に特に薦めたい点は、「旧制学校の理想型」である。確かに旧制学校の時代にもさまざまな矛盾があり、理想と遠い部分もあった。しかしながら、旧制・高等女学校や旧制・高等学校に「正しい論理は必ず正しく実行される」というものがあれば、旧制学校の環境は、この作品が描くようなものであったであろう。

この作品は、日本国憲法が施行された1947年(昭和22年)に新聞に連載され、すぐさま出版されたものである。理想的な男女交際や健全な民主主義を描いた作品として名高い。想像に過ぎないが、ポツダム宣言受諾後の日本本土において人々は、ある種の理想を求めていたのではないかと思う。その理想が体現化されたものが、この作品であると考える。

1947年(昭和22年)当時の日本本土の人々が抱いていた理想、それは「理想」であるが故に時が経っても価値を失うものではない。現行の学校制度の中にも良い部分はあるが、同時に旧制の学校制度の中にも良い部分がはあったであろう。あくまで「理想型」ではあるものの、旧制学校の良さが21世紀の現代にも伝わる小説として、この作品を薦めたい。
病的に健全 ★★★☆☆
 他のレビューの評価が良かったのでここで三ツ星を付けてしまうのはちょっと抵抗があるのですが、読んでみてそこまで共感できませんでした。新聞連載当時から絶大な支持を受け、刊行されるやいなや大ベストセラーとなった本書。内容はこの時期特有の旧体制の打破という典型的なものです。
 一人の少女の恋愛をめぐって学校が二分し恋愛を認めるべきか否かと、意見を戦わせるという、少々リベラルな筋書き。たぶん著者は「青年達の自由な恋愛を認め、封建的な考え方は打破すべきだ!」とこの小説を通して言いたかったんでしょうね。読んでいて著者の熱意が伝わってきます。筋書きそのものも確かに他のレビューアーの方がおっしゃる通り、若者らしい情感や描写に溢れ、読んでいて気持ちよくはなります。特に問題となる男女の関係は非常に洗練されており、ボート乗り場で不良と戦う所は思わずハラハラさせられてしまいました。なんとかなってホッと胸を撫で下ろしたり。ただの青春小説として読めば何ら抵抗なく本当に気分よく読めるでしょう。これは本当にそう思います。
 しかし、先述したように著者の主張が全面に押し出されていて物語が恣意的過ぎるきらいがあります。実際に意見を戦わせる場面では一応山場は用意されるのですが、その作り方がなんというか素直に共感できない。いかにも「作ったな」という感じがしてしまいます。その切り抜け方もあっさりしすぎている。面白くなってきたと思ったら、すぐに引っ込んでしまう。最後の和解のシーンも取って付けたような話で不満足でした。登場人物も味方側(自由恋愛賛成派)はいかにも啓蒙された進歩的な考え方を持つ人々というかんじで、反対側は(態度を変えるまでは)陰険で自分勝手、旧弊に惑わされ続ける愚鈍な人物と、描き分けがはっきりしすぎています。言い過ぎかもしれませんが、なにかパンフレットじみているような気さえしました。しかも討論のシーンではなんら論理的なことはお互いしゃべってはいないのに、投票したらいつのまにか味方が勝っている、変だと思います。
 感想はタイトルの通りです。正直に言って素直に薦める気にはなりません。
忘れられている、さわやかさ ★★★★★
 この間、急に石坂洋次郎を読みたくなった。若い時分に初めて読んだ時のあのさわやかな気分に、ストレスにまみれた今、もう一度会いたくなったのだ。軍国主義から解放された戦後日本を代表する作家の一人と言えるこの人の本を読みたくなったのだ。
 だが、どうした訳か本棚を探してもない。文庫を一冊買おうと本屋に行って驚いた。けっこう、大きな書店にもかかわらず石坂洋次郎の本がないのだ。この「青い山脈」もあの「陽のあたる坂道」も。はやらない人と言うことなのか?
 この「さわやかさ」風化させるのはもったいなさ過ぎる。忘れられるのは哀しすぎる。皆、読んでみてくださいな。
読んでいて、とてもすがすがしい ★★★★★
終戦まで、個人を消して、国家のために懸命に生きてきたけれども
戦後は、個人のために生きることが許される時代になった。
けれども、人間はすぐに切り替えて生きていくことができないもので、
さまざまな問題が起きてくる。
それを、若い女性教師(雪子)や教え子の新子たちなど若者の
前向きな力と、悪を許さぬきれいな心と、人をいたわる

やさしさでもって、力を合わせて乗り越えていく。
読んでいて、本当にすがすがしい。今の時代でも、まったく色あせない
テーマで、とても勇気付けられました。あたたかい言葉にあふれています。28歳の私ですが、もっと早く出会いたかった本の一つになりました。