京都と自然を撮り続けてきた写真家で生粋の京都人である著者が、70あまりの桜の名所を写真とともに紹介したのが本書。使用機材、撮影日などの撮影データや「日中は人であふれる哲学の道は早朝撮影が望ましい」「散る桜を写すときは高速シャッターで。ピントあわせは手動で散る桜にピントを合わせること」など細かなアドバイス、電車やバスの路線情報を盛り込んだ市街地図、社寺・名所の解説(歴史、拝観時間・料金、駐車場の有無など)、撮影地によってはベストアングルを示す撮影マップなど、貴重な情報を惜しみなく提供してくれる。巻末の索引には、漢字が連なる京都独特の住所の下にURLを付している寺社もある。
「今年の桜がどのような咲き方をするのか今から楽しみである。写真は現場に行かないと写らない。プロもアマも同一条件なのである」という言葉に刺激されて、春のきまぐれな美女たちを撮影するもよし。本書片手にプロが撮った桜を探して古都を訪ね歩くもよし。同著で『京都・紅葉―カメラを持って京都へ行こう』もある。(松本肇子)