新しい知見に満ちている
★★★★★
新しいといっても出版当時(2007年)なので、最新情報を追っかけている人には物足りないかもしれませんが。
100億光年も離れた宇宙に関する発見ニュースも届く時代ですが、太陽系に関してもまだまだ未知のことや、新しい発見に満ちているようです。
特に本書は、冥王星の位置付けを惑星から準惑星に変更する議論に直接参加した筆者がそのあたりの経緯や背景情報を丁寧に語っており、一種のドキュメンタリーとしても楽しめると思います。
惑星科学の楽しい入門書
★★★★★
2006年に冥王星が太陽系の惑星から外され、「準惑星」という新しいカテゴリーに入れられた。このまだ記憶に新しい天文学の大きな節目がどのような経緯でもたらされたのか、本書では「はじめに」で話題を提起して最終章でその詳細を解説している。しかし、本書の本当の価値は、その間に記述される太陽とその廻りを巡る天体についての観測と探査の成果、つまり副題にもあるとおり、太陽系天文学の最新の知見を読者に紹介しているところにあり、まさにその「入門書」なのである。
特に、近年行われた惑星探査によって、新たに判明した外惑星を素描する内容は、新書の読者を想定して、極めてわかりやすい記述にまとめられており、どの内容も興味津々。著者が最後に述べているとおり、「太陽系・惑星科学」のおもしろさにふれることができる格好の一冊である。
太陽系
★★★★☆
天文学や、物理の分野って、一般的に、堅苦しかったり「どうせ考えてもわからないとか」「所詮、理論」「すでに飽和状態にあるのではないか」と思われていたりするけど、けしてそんなことはない。最新の研究では、いろんな興味深い事を明らかになっている。宇宙という何億年単位の現象を何百年かで証明する事なんてできない。だから今後、大発見がある可能性も十分にある。
この本は東京の国立天文台で責任者である、渡部さんが太陽系の各天体についてあれこれ最新情報を教えてくれる。彼の宇宙への情熱、そしてみんなに宇宙に興味を持ってもらいたいと思う気持ちが、文面からよく伝わってきた。
太陽系科学の今がコンサイスにまとまっている
★★★★☆
“冥王星降格”で話題になった惑星定義見直しの国際委員会の委員であった渡部潤一氏による、現在の惑星科学の紹介である。月探査なんてことに関わっているとは言え、地球の外には新規参入組の私にとっては、基本的な知識をざっとみられて、便利だった。最後の一章には惑星定義見直しの経緯と経過の記録もあって、こちらも面白かった。分かりやすい内容で、文章もこなれている。どなたにもお薦め。
準惑星に関する新しい知見
★★★★★
13章、14章で冥王星と太陽系外縁の天体に関しての新しい知見が述べられています。
とりもなおさず、人類にとっての太陽系が現在も広がり続けていることによります。
技術の進歩によって、観測できる範囲が広がり、新しい解釈が必要になっていることがわかります。
といっても、地上にいて観測できる事柄は非常に限られています。
その観測事実から、その場の状況を想像し理論で肉付けし、発表する努力は大変なものです。
なによりも、観測をおこなう研究者のイマジネーションには脱帽させられます。
惑星観測、ことに火星観測におけるローウェルのエピソードを冒頭に、研究者の努力を描いています。
そして、一応準惑星という形でまとまりを見た国際天文学会での見解も、次回2009年では同じ内容で議論が再燃する可能性についても述べられています。