本書は、トヨタ式の肝である「あるべき姿に向けて」「日々改善を」「徹底的に」行うという基本的思想を軸に、著者がコンサルした事例なども紹介しながら、ホワイトカラー職場の業務改善の必要性を主張します。
どの企業でも事務系業務は業務内容が「視え」にくく、効率的な仕事の進め方（業務改善）に悩んでいるのではないでしょうか。だからこそ、ホワイトカラーの職場にトヨタ式を導入すべき、という著者の主張にはまったく同感です。
とはいえ、ブルーカラー職場（＝製造現場）でのトヨタ生産方式の手法をそのまま紹介するに留まっていることが多く、ホワイトカラー職場でのトヨタ式カイゼンの具体的な手法の提示としては物足りない感じがしました。
最終章ではチェンジリーダーの必要性に言及していますが、結局のところ、ホワイト職場ではトヨタマインドをもった人が自分なりの手法でアプローチするしかない（トヨタ式も万能ではない）ということなのか、逆にそれだけホワイトカラーの業務改善は難しいということなのでしょうか。
期待度が高かっただけに厳し目の採点となりましたが、トヨタ式のエッセンスは十分に示されており、問題意識を高めたり刺激を受けたりという意味では有益な一冊だと思います。